ヨーロッパのその先へ
腰から下は安心感を、上は開放感を感じさせてくれるインテリアの造形。 |
驚くほど完成度の高いLSだからこそ、他車であれば気にもならないような所に、細かい注文もつけたくなる。インパネの青白い各種表示の照明の中で、エアコンの温度表示部分のみわずかに緑味を帯びる。些細な差だが、これは揃えたい。またインテリア照明のルームランプ、ドアハンドル、シートベルトアンカー、足元、LED照明の色味は、適所適材というよりは、異なる色味が気になる部分。そして足元が広い後席だからこそ気になる、上までカバーをつけたい前席のシートスライドレール。手が触れるアームレスト類も、最高級車だからこそ、もう一段深く沈み反発するクッションをつけたい。とは言え、これらは極めて瑣末なことだ。
レクサスのデザインフィロソフィはL-finess |
デザインフィロソフィは、トヨタのバイブラント・クラリティ(活き活き・明快)に対し、レクサスはL-finess(エルフィネス)。Leading-Edge(先鋭)とFinesse(精妙)という、2つの要素を融合し、カーデザインを美・アートの領域まで高めていきたいという志を表す。そしてそのキーワードとして、「純」(本質を極めたシンプルさ)、「妙」(感性に響く深み)、「予」(時間をデザインする)の3つを上げる。
キーワードは「純」「予」「妙」 |
LSの全てが時間をかけデザインされ、手間隙かけて作られている。そして見るたびに新しい発見があり、驚く。それはまさに「精妙の美」であり、「時間をデザインする」ということでもある。造形の「勘合」と「融合」や、相反する要素を両立させる「二律双生」は、異なる要素のバランスを取り実現させる日本の文化に通じるものがある。そしてただ速く豪華なヨーロッパの最高級車のトップグレードに対し、今最重要課題である環境性能と、クルマの運動性能という相反する要素を両立させるという、日本らしい考え方の究極のクルマが、来年春発売予定のハイブリッド、LS600hLなのだ。ヨーロッパのその先へ、LSは行こうとしているのだ。
相反する二つの要素を実現させた日本のLS。 |
(写真・文 松本明彦)
・撮影協力 ホテル ザ・マンハッタン
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