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まさに「駆けぬける歓び」 BMW330i、その凄みを知る

BMWらしさ溢れる330i。Dセグメントの中では高価だが、その質感高いデザイン、2クラス上にも匹敵する装備、滑らかなエンジン、舐めるような脚の動きを体験すると、十分に価値のある事が分かる。

執筆者:松本 明彦


BMWらしさ溢れる330i

5代目になるBMW3シリーズ、E90型。どこから見てもBMWだ。 撮影:松本明彦

BMW3シリーズが、7年ぶりに最新のE90型に変わった。初代3シリーズE21からは5代目30年、「高性能でコンパクトな高級車」として登場した02シリーズからは39年の歴史を誇る。

全幅はついに1,800mmを超えた。この角度からだと、張り出したフロントフェンダーと比較的立ったサイドウィンドウ、四つ目ライトが良く分かる。 撮影:松本明彦 

デザイン上の話題はまず一気に75mmも広がり、1815mmになった全幅だろう。上級5シリーズ旧型を15mm超え、現行5シリーズにあと30mmと迫る。完全に一クラス上の全幅になったといえる。ここまで大きく広げた理由は、幾つかある。

ボディ後部をグッと絞り、空力に効く造形になっている。 撮影:松本明彦

まず年々厳しくなる、側面衝突安全基準を満たすためにドアを厚くし、乗員との距離を取るためが一つ目。次にその側突対策のサイドエアバッグやカーテンエアバッグを、余裕を持って展開できるようするためが二つ目(フロントから見てサイドガラスも立っている)。さらにライバルとの競争が激しい、居住性を確保するためが三つ目。加えてエクステリアデザインで、フェンダーやトレッドを広げダイナミックなデザインにするためが四つ目。余裕ある全幅を活かし、ボディ後部を思いっきり絞り、空力を低減させるためが五つ目。絶対的な寸法では車格を上げて見せ、相対的な全長比の全幅(全幅÷全長)では通常の同クラスセダンの0.38前後を超え0.4と2ドアクーペやスポーティーカー並みの「非日常性」を表現するためが六つ目の理由だ。

国産の同クラスでは、日本の道路や駐車場の事情を考慮し全幅を1,695~1760mm程度に収めている。ドイツ本国やアメリカを主な市場とするBMW3シリーズでは、そんな制約もなく一気に1,815mmと広げたわけだ。日本では確かに気を使う場面もなくはないが、その一方で得たものは上記6点のように大きく、他車との差別化をはかりプレミアム感を高めたと言えるだろう。

一目見て分かるBMWらしさは健在だ。キドニーグリル(キドニーは腎臓の事)、四つ目ヘッドライト、サイドウィンドウのJライン、ドアハンドル部を走る凹のキャラクターライン、L字型を髣髴とさせるリアコンビランプ、FRを視覚化する長いボンネットとパワードーム(直列エンジンを主張するボンネットの膨らみ)等はもちろん。短いフロントオーバーハングと長いホイールベース、Aピラーの延長部はフロントタイヤセンターに繋がりJラインのCピラーを受け止めるリアタイヤで踏ん張り感を強調するライン、中にガシッと骨が通ったような筋肉質の面の造形等、幾つものBMWの特徴は新型でも継承されている。

新型3シリーズのデザイナーはBMWのインハウスデザイナー、永島譲二氏。ピニンファリーナの奥山清行氏、アウディの和田智氏らと共に、同年代の日本人デザイナーが世界で活躍している事が頼もしい。

BMW3シリーズセダンのデザインは、Z3のデザインでも知られる日本人デザイナーの永島譲二氏だ。 撮影:松本明彦
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