女性向けのクルマは難しい…
スズキの考える“ママに便利で子供にやさしい”クルマが新しいMRワゴンなのだそうで、従来の密度の高いパッケージングを採用した上質な軽自動車というイメージは受け継ぎながらも、思い切り女性志向を強めたクルマになりました。大きな丸型ヘッドライトを採用したデザインなどは、いかにも女性受けを狙ったかの印象があります。年齢層こそ違いますが、女性を意識した点はブルーバードシルフィと似ています。女性を意識したクルマは昔からいろいろあって、20年以上も前には各社からいろいろな女性仕様車が出され、そのほとんどすべてが失敗した過去があります。当時の女性仕様車は男の開発者の頭で考えた女性向けのクルマだったことが理由でした。
その後、ことさら女性仕様車を名乗らなくても、実際のユーザーである女性の意見を反映させてクルマ作りをした車種がいくつか登場し、この中には一定程度に成功したクルマもありました。女性の支持を得ることが、ヒットの条件であるのは間違いありません。最近ではダイハツのタントが女性に支持されて大成功を収めています。
ただ、女性を意識して作ることで成功するより、女性を意識しないで作ったのに女性からも支持されることで成功したクルマのほうが多いように思います。多くのヒット車は幅広いユーザーに売れています。一口に女性といってもいろいろな人がいるわけで、女性を意識しすぎて『女性の多くはこうだから、こんなクルマが適している』などと型にはめて押しつけると、『私は違うわよ』とかえって嫌われてしまうのではないでしょうか。
逆に女性にとって運転のしやすいクルマは男性にとっても運転のしやすいクルマであるわけで、女性とか男性とかあまり意識しないで作ったほうが良いように思います。個人的に男尊女卑の考えから抜け出せないでいるためか、女性を意識しすぎておもねった感じのクルマが続くと、妙な気分になります。