選ぶならGの5人乗りのほうが良いでしょう
アウトランダーの価格はベースグレードのMが234.2万円で、上級グレードのGが264.8万円。2グレードだけのシンプルな設定です。これは2列シート5人乗り仕様の価格で、シンプルなエマージェンシー用ともいえる折り畳み式の3列シートの装着車を2万1000円高で買うことができます。アウトランダーの7人乗りは5人乗りとの価格差が2万1000円と安いが、あくまでも緊急用。 |
MとGのグレード間の違いはロックフォードフォズゲートのプレミアムオーディオが主なもので、GにはステアリングのオーディオリモコンやCVTのパドルシフト、ディスチャージヘッドライトなども装着されます。これで30万円ほどの価格差は納得モノで、選ぶならGのほうが良いという印象です。
ただ、260万円台の価格はRAV4やエクストレイルの2.0L車に比べるとかなり高くなります。これは排気量の違いもあるので仕方ないところですが、同じ2.4Lエンジンを搭載するCR-Vと比べてもやや高めです。
もちろん装備や仕様の中身を含めてじっくり比較すればアウトランダーの価格競争力がそれなりにあることは分かるのですが、ひと目で割安感が伝わるような価格設定でないのは確かです。取り敢えず立ち上がりの時点では好調な売れ行きを示していますが、この勢いが長く続くかどうかは割安感を訴求できるかどうか、また近く登場する新型RAV4に対して競争力があるかどうかなどがポイントになりそうです。
三菱といえば、コルトやグランディスなどの比較的最近のモデルで、CFC(カスタマー・フリー・チョイス)と呼ぶシステムを採用していました。外観や内装、装備などの仕様をユーザーが自由自在に選べるもので、豊富な選択肢を提供するのが魅力でした。
こうした自在な選択システムは大昔にトヨタのセリカが、20年くらい前には日産のセフィーロが採用するなど、各社が何回チャレンジした記録がありますが、いずれも結果的にありまうまく行かずに終わっています。
クルマ好きのユーザーならステアリングはこれにしたい、シートはこれがいいなど、自由に選べることが大きな魅力になりますが、一般のユーザーにとってはどれを選べばどうなるのか、その違いが良く分からず、選択に困ってしまうことのほうが多いのです。セールスマンもどれを勧めたら良いのか分からないというか、ユーザーに好みで決めてもらうしかないのでどうすることもできず、商談が長くなるばかりで評判が悪いのです。
自動車会社に努める人は、クルマに詳しいのでたくさんの選択肢があったらうれしいと思うのですが、一般のユーザーにとっては必ずしもそうではなく、本当にお勧めなのはどれなの? とお勧め仕様を求めるだけの結果に終わるのです。
生産面でも、多様なニーズに対応するだけのパーツを用意しなければならないなど、効率が悪化する面もあって、今回のアウトランダーではCFCが採用されませんでした。これは妥当な結果といえるでしょう。
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