まず外観デザインですが、いわゆる豪華な高級車であることを強調したというより、若々しくスポーティなクルマであることを強調したものとなっています。このあたりはクラウンなどとの違いが明確な部分です。基本メカニズムの部分でもいろいろな特徴があります。
まずは300psのパワーを発生するV型6気筒3.5LのSOHCエンジンです。国産車として初めて、280psを突破したクルマになりました。プロトタイプに試乗した印象では、いかにも300psカーらしいパワフルさてはなく、高級車らいし走りの余裕を感じさせるエンジンでした。
そして今回のレジェンドで大きな特徴となるのがSH-AWDことスーパーハンドリング4WDです。そもそも高級車というとFRというのが世界的な常識で、FFの高級車はそう多くありません。ホンダはかつてFR車を作っていなかったため、レジェンドもFF車として作ってきましたが、ホンダのほかにはFFというより4WDの高級車を作ってきてアウディがあるくらいです。
GMのキヤデラックもFFでしたが、時期モデルからはまたFRに戻されます。そんな中で単純なFF車では高級車として訴求するのが難しいということもあって、駆動力を前後に配分する普通の4WDシステムではなく、後輪に回した駆動力をさらに左右に自在に配分することで、新しい走りの次元を獲得したクルマに仕上げています。プロトタイプを試乗した感じでは、タイトコーナーなどでその効き目が良く分かりましたが、雪道などの滑りやすい路面ではさらに安定した走りが可能になるとのことです。
このほか、高張力鋼板やアルミの使用によって軽量化したボディは、小さなクルマとの衝突時に相手との共存を図ったコンパチビリティに配慮しているとか、追突軽減ブレーキを始めとする最新の安全装備を備えていることなど、安全性の向上も注目されます。高級車らしく快適装備が充実したものになるのはいうまでもありません。
新型レジェンドの価格は本体が500万円(525万円)ですから、これまでのレジェンドの最上級グレードと比べるとざっと50万円ほど高くなっています。ただ、この分はエンジンのパワーアップやATの性能向上、SH-AWDシステムなどによって簡単にカバーできるものです。これに加えて安全装備や快適装備が向上していることを考えると、けっこう値打ちモノの500万円と言えるかと思います。