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ミニバンテイストのオペルのコンパクトカー オペル・メリーバ試乗記

メリーバはGM日本ではミニバンという言い方をしていますが、これは高めの全高によって広い室内をやさまざまな使い勝手を実現する3分割式のリヤシートなどを持つことによるものです。

執筆者:松下 宏



メリーバはGM日本ではミニバンという言い方をしていますが、これは高めの全高によって広い室内をやさまざまな使い勝手を実現する3分割式のリヤシートなどを持つことによるものです。ただ、シート配置は2列5乗りですから、ミニバンというのはちょっと無理があるように思います。

大きく広がる頭上空間やゆったりモードに変更したときの後席など、空間の広さは十分に満足できるものです。ただ、全高が1625mmありますから、タワーパーキングへの入庫は諦めなければなりません。都市部での使い勝手はやや制約を受けます。

搭載エンジンは1600ccの自然吸気DOHCで、74kW(100ps)の実力です。まあこのクラスのエンジンとしては平均的な実力といえるでしょう。中低速域のトルク感や吹き上がりのスムーズさなど、実際に走らせた感じでも際立って特徴的な部分はなく、普通に良くできたエンジンという感じです。

トランスミッションはイージートロニックと呼ぶフルオートマチックモード付きのシーケンシャル式5速MTです。すでにスマートなどいくつかのモデルに採用されているのと同じ方式です。このイージートロニックが良い面と悪い面とがありました。一定速での巡航に入ってしまえば、実に静かで滑らかなクルージングが可能なのですが、発進から加速して行って巡航に入るまでのシフトショックが大きく出ます。変速時に一旦トルクが抜けて減速し、再び加速する感じになるからです。それでも、私がかつて乗っていた初期スマートの並行輸入車に比べたら、ショックは格段に滑らかになっているのですが、変速時のショックは気になります。

乗り心地は一般的なドイツ車にあるようなゴツゴツした感じではなく、かといって柔らかすぎる感じでもなく、ちょっと硬めでしっかりした感じのものでした。これはまずまず好感が持てます。220万円台の価格は、国産車に比べたら高いのは確かですが、大きな室内空間を持つ輸入車としては納得できる水準かも知れません。オペル開発のクルマとしては、スバル・トラヴィックがありますが、こちらはタイ製ということもあってかなり安めの価格が設定されています。

メリーバもトラヴィックと比較されると苦しいことになります。トラヴィックは3列シートのミニバンで、1800cc車は200万円を切っていますし、メリーバと同価格帯のモデルは2200ccエンジンを搭載しています。このあたりは相当に悩ましく、判断が難しいところです。
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