今年10月、マツダから発売されたアクセラは、けっこうデキの良いクルマだと思います。ちょうど東京モーターショーや日本カー・オブ・ザ・イヤーなどのイベントがあって、アクセラの話題はあまり盛り上がらなかったのですが、フォード・フォーカスやボルボS40などと共通のプラットホームを持つだけに、土台がしっかり作られたクルマという印象があります。衝突安全などに対応するために、ボディがワイド化されて3ナンバー車になってしまったのは残念なところですが、全体にデキの良いクルマだと思います。
価格設定も相当に割安ですだ。ボディは4アセダンとスポーツと呼ぶ5ドアハッチバックがありますが、いずれも同じ価格が設定されています。1500ccエンジンを搭載した15Fが148万円、2000ccエンジンを搭載した20Cが175万円、2300ccエンジンを搭載した23Sが195万円という設定です。1500cc車の割安感はさほどではありませんが、2000ccと2300cc車は相当に安めの価格が設定されています。なお1500cc車にだけ5速MT車が用意されていて、これには139.5万円の価格がの設定されています。
このうちどれを選ぶかですが、アクセラがファミリアの後継モデルであると考える人は、たいていが15Fを選ぶことになるでしょう。ファミリアはイメージ的にコンパクトクラスのクルマであり、2300ccの最上級モデルはおろか、2000ccエンジンでさえ大きすぎると考える人が多いはずだからです。マツダとしては1500cc車は本当ならデミオに任せて、アクセラでは2000cc車を中心に売りたいようですが、多くのユーザーはそうは考えないと思います。
ワイドボディになって車格が上がったと考える人は、20Cや23Sを選ぶかも知れませんが、20Cや23Sはマツダの上級モデルであるアテンザのバリエーションとオーバーラップするため、アクセラが売れるとその分だけアテンザの売れ行きがダウンすることになるでしょう。それではマツダにとっても良い結果ではないと思います。
特にマツダが売れ筋と考えている20Cは、エンジンが可変バルブタイミング機構付きではなくなり、実際に走らせたときのフィールもあまり良くないのです。23Sになると、ボディに見合う以上の動力性能を発揮するので極めて軽快かつスポーティな走りが楽しめるのですが、その点から見ても20Cは中途半端なイメージになってしまいます。