ＡＴということもあり、街中での乗りやすさは十分にあります。扱いにくさがまったくないので、誰でも「普通」に乗れてしまうのがイイところ。
ただ逆に、スポーツカーとしてのガツンとした加速感を求めると、正直、物足りなさもありました。210psのエンジンでは若干トルクが細く、しかも滑らかな加速なのでアクセルを踏み込んでも、グングン前に出るような力強さを感じない・・のですが、ふとメーターを見ると、驚くような速度になっている！ 速いのは、速いんですよ。ただ、加速感を身体で感じて楽しむタイプではない気がしました。
とくにＡＴの場合、シフトチェンジの際に回転の落ちかたが大きく、力がフッと抜けてしまう感じもあるため、よけいパワー感が影を潜めてしまいます。高速での追い越しなどでは、一瞬だけどもたつく感じもあったし。スポーツカーとして考えると４速ＡＴというのも、ちょっと物足りなく、願わくば５速ＡＴで、もう少し各ギアの繋ぎをスムーズにして欲しいですよね。
ただ本当に乗りやすさがあるので、日常で使うのならこれでも十分。街中ならば十分に速さも楽しめます。ただ、よりパワフルな加速感も楽しみたいのなら250psのＴｙｐｅＳです。ただしこのモデルにはＡＴの設定がないので、ＭＴでもＯＫという人に限るのですが。
取り回しの点では、やはり後方視界が気になりました。とくに左後ろタイヤ付近は完璧な死角になってしまうので、狭いところでの駐車は要注意です。
また乗り心地は本当に良かったです。実はＲＸ－８を乗る前まで、撮影のためにミニバンを乗っていたのですが、同じ道を走り比べると、あきらかにＲＸ－８のほうが段差を乗り越える際の動きが滑らか。子供を乗せるなら、正直ミニバンよりＲＸ－８のほうがいいや、と思ってしまったほど。ピタッと路面に吸い付く感じがあり、そんな乗り心地も、乗りやすく感じました。
ただ速度が上がると、ステアリングが軽く感じ、やや接地感が乏しくなってしまう部分もありました。このあたりは少し残念な部分。速度が上がっても、中立付近の手応えがもう少ししっかりあると、より安心感が強まっていいのですが。
・燃費
まず普通よりも、かなり酷使した状態で街中を走行した時の燃費がリッター 5.9km。
そして200kmほどオートクルーズを使った100km／h巡航＋普通の高速走行をした時の燃費がリッター 7.8km。
街中では、主に保育園の送迎やお買い物、そして都内の渋滞や、はたまた加速性能のテストなど、もっとも燃費が悪くなるような走りを300kmほどした結果なので、ほぼ最低ラインの燃費だと思ってください。そう考えるとスポーティモデルとしては、まずまずという感じもします。
また後半の主に高速を主とした燃費は、逆にベストに近い状態の燃費結果といえそうです。もう少し、エコランすればリッター8kmは越えると思います。
平均すると6.8km。悪くてもリッター5km台。がんばれば8kmという結果は、まぁまぁというところですね。ただファミリーカーとして見ると、ちょっとイタイですけど。
・その他
今回乗っていて、個人的にちょっと好感を抱いたのが、様々なイルミネーションの工夫。例えば夜間、ドアを開けたり、キーレスでロック解除するとドアミラー下からライトが点灯。これで足元を照らしてくれる、とカタログには記載されています（全車標準装備）。とは言え、焦点が少しドアに向いているために、完全に足元まで照らしきれていない。実用性のほどはまだ、う～ん・・という感じだけど、雰囲気は十分に楽しめるものに。暗がりでの安心感というのもありました。発想はすごくいいと思うので、これはさらなる熟成を期待したい部分。でも個人的には、好きなんですよね、こういうアイテム。
またメーターも凝っていて、ドアを開けるとまずはブルーにライトアップ。そしてイグニッションオンにすると、ホワイトに。夜間、ライトを点けた場合はアンバーレッドへと、３つの顔に変わるのです。とくに夜間、クルマに乗り込んだ際のブルーのライトアップは、なかなか高級感があってよかったです。奥様の財布の紐をほどかせる際には、この夜間照明を見せると効果的・・かもしれませんよ。
とにかく全体的には、日常でも使いやすいクルマでした。後席からの乗り降りと、後方視界さえ慣れてしまえば、ファミリーにも十二分にオススメできるクルマです。とくに夜間の照明など、女心をくすぐる雰囲気もあり幅広い層に受け入れられる中身になっています。
ファミリーユースと言えどもミニバンやワゴンに飽きてしまったという人には、とくに見てみて欲しいクルマの一つです。どのジャンルにもカテゴライズできない「ＲＸ－８」というニューカテゴリーのファミリーカー、そんな気がしました。
