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2つのガソリンエンジンは406と同じだが、2.2リッターはトランスミッションが5速から6速のMTになったおかげで、なめらかな吹け上がりがさらにスポーティに感じた。3リッターに装備される6速ATはアイシンAW製だけあって、シフトアップ/ダウンに違和感はなく、発進や追い越しでは406のV6より力強い加速が体感できた。日本仕様はどちらもATになるようだが、できれば2.2リッターにも6速を与えてほしい。
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407のいちばんのポイントがサスペンションであることは、以前の記事でも書いたとおり。その成果は、走り出した瞬間からわかる。乗り心地は、わざと路面の穴を通って足の動きを体感したくなるほど。406より少しだけ固くなったが、ショックの受け止めかたやフラット感はこちらが上で、ずっと洗練されたという印象だ。V6は電子制御ダンパーが装備されたおかげで、406のV6ほど固くなくなったが、フラット感は4気筒のほうが上だった。
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油圧式パワーステアリングの切れ味はクイックでなめらか。しかも前輪駆動なのに、アクセルの開閉によって手ごたえが変わったりしない。ステアリングだけでこんなに発見があるクルマもめずらしい。ハンドリングは、もともと良かった406をさらにレベルアップした感じで、ペースを上げても思いどおりに曲がってくれる。中でもエンジンの軽い2.2リッターが、いちばん動きが自然かつ軽快で、個人的にもっとも楽しめた。
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シンプルなメカニズムでハイレベルな走りをモノにするというのが、今までのプジョーのクルマ作りだった。そのプジョーが凝りに凝った足回りを与えた407は、やはりタダモノではなかった。乗り心地とハンドリングが、高次元で両立しているだけでなく、どちらも心地よい。ネコ足の本気を感じた南欧での1日だった。