低μ路は、氷上とほとんど同じ0.1μを30km/h、圧雪路とほとんど同じ0.3μを40km/hで走った。タイヤはノーマルなので、ESPをオフにすると、ステアリングを切ってもまっすぐ進んだり、クルッとスピンしてしまったりして、満足に走れない。ところがESPオンの状態では、滑りそうになるとすぐにスロットルやブレーキを微妙に調節して、ヌルヌルしながらもステアリングを切ったとおりに進んでくれる。



続いてダブルレーンチェンジ。70km/hでステアリングを右、左とすばやく2回切るもので、障害物を避ける動きに近い。ここでもESPオフとオンで乗り比べたが、オフのときはうまく修正しないとスピンしてしまうのに、オンのときはまたもステアリングを切ったとおりに進めた。そこで今度は80km/h・ESPオンで挑戦。結果は同じだったが、最初にステアリングを切った瞬間、車体にドンッというショックが伝わったことが気になった。



「なにがあったんだろう?」と思いつつ、今度はJターンへ。60km/hまで加速したあとにスパッとステアリングを切るメニューだ。ESPオフではダーッと外にふくらんでいってしまう。それならとオンにして試すと、さっきと同じドンッというショックのあと、スムーズに曲がっていった。定常円旋回は40km/hからアクセルを床まで踏んで加速したが、ここでもESPオフではどんどんふくらむのに、オンでは例のショックのあと、きれいに円を描いてくれた。



実はこのドンッがUSCだった。普通のESPのブレーキはわからない程度に弱く効かせるのだが、USCのそれは急ブレーキみたいにはっきり作動させるのだ。おかげで瞬間的に速度が落ち、カーブを曲がれる。でも、それによって姿勢が乱されたりすることはない。しかも外から見ていると、USCが作動したときにはブレーキランプが点いて、後ろのクルマに注意をうながすようになっている。大胆さと繊細さをあわせ持つ高度な制御に、驚いてしまった。



最近のルノーは、パッシブセーフティの分野では、ユーロNCAPの衝突実験の結果などでトップクラスであることが証明されているが、アクティブセーフティでもこのように、ライバルの一歩先をいく思想を持っている。できれば一般ユーザーにも、このESPのすごさを体験できる場を用意してほしい。そう思うほど、高度な安全装備だった。
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