クルマから降りたらドッと疲れが出た。とりあえずひと眠りしたあと、おなかが空いたので食べ物を口に入れ、また寝てと、ほとんどナマケモノ状態。対照的に2CVは、コツコツと与えられた任務をこなしている。他の人も4分ちょうどぐらいで走るようになり、「夢の3分台」(といっても他車より1分以上遅い)まで出るようになった。そうだよな、僕だけが速いなんておかしいもんなと思いつつ、心の中では自分も3分台を出してやると意気込んでいた。レースの魅力にすっかりハマっていたのだ。
2度目の出番が回ってきたのは午後4時頃。例の持病以外に問題はないようだ。僕は1回目とは全然違う気持ちでコースに出た。ストレートでの加速が、さっきより力強くなっている。エンジンにアタリがついたようだ。いける。ところが、コーナー出口の息つきがひどくなっている。燃料計を見ると空に近かった。タイムは4分ジャストがせいいっぱい。夢の3分台は、自分にとっては夢のままで終わった。色気を出すといいことがないということを思い知った。
2CVはその後も快調に走った。30分ごとのピットインでは、たまに給油をする以外はドライバー交代だけ。コースに出ればバンバン抜かれまくるくせに、ここだけはル・マン24時間のトップチームみたいだ。ところがBXは電気系が不調で、ずっとピットに居座ったまま。応援に来ていたお客さんのBXのパーツをコンバートしたりしたが、最後まで元気を取り戻すことはなかった。