前回のレポートの最後で、スロットルワイヤーの先端につく留め金が外れて動かなくなってしまったことを書いた。しかしその後仕事でヨーロッパへ行くことが決定。帰りにパリに寄り、あらかじめネットで調べておいたショップへ行って、ワイヤーを2本調達してきた。帰国後早速取り付けると、わがソレックスは何ごともなかったかのように息を吹き返した。こうしてまた楽しい日々が始まった。
ただし国産スクーターのように乗りっぱなしというわけにはいかない。まずは前にも書いたがサビやすい。鉄の部分が多いからだが、その鉄のクオリティがあまり高くなく、防錆処理もそれなりのレベルのようで、雨ざらしで置いておくとすぐに赤茶色の模様ができてしまう。一度本格的なサビ落としをしたあと、自転車用カバーをおごってあげた。
ほかに与えたものとしては、鍵と補充用オイルボトル、そしてそれを入れるためのポケットがある。鍵は自転車用、ボトルは空になった胃腸薬のビン、ポケットはベルトに付けるタバコ入れを流用した。あとの2つについては輸入代理店のソレックスジャパンでも用意されているが、僕はこういう使い回しを考えるのが好きなので、自分で適当なものを見つけてきた。
サビ以外に気をつけなくてはいけないのはネジ部分。ネジ山が、気をつけずに締めていくとすぐにボロボロになってしまうのだ。そのひとつがキャブレター側でスロットルワイヤーを止める部分。反対側にナットをかませることで解決したが、もうひとつの右側グリップ部分は、今のところ緩いのを我慢してそのまま乗っている。ハンドルにテープを巻くなりして動きを止めようかなあと思っている。
こんなことをしながらも乗り続けているのは、やっぱり現代の原付では味わえない「操る楽しさ」があるからにほかならない。しかもエンジンにアタリが付いてきたのか、はたまた上野のバイク街(関東の2輪車乗りにはおなじみ)で仕入れてきた添加剤が効果を発揮しているのか、以前はペダルを漕がなければ登れなかった坂がエンジンのみで加速していくようになった。パワーのない乗り物は速さの違いがすぐに体感できるからおもしろい。
おまけに涼しくなってからは、始動も楽になってきている。もうすぐ冬がやって来るが、スピードが出ないからそれほど寒くはないだろう。というわけでソレックスとの付き合いは、これからもしばらく続けるつもりでいる。便りがないのはいい便りだと思って、暖かく見守ってください。よろしく。
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