タイヤが細くハイトの高いものとなったことに加え、エンジンが軽くなったことでサスペンションも多少ソフトよりにセッティングされているのだろう、乗り心地はV6に比べると今までのハイドラクティブに近いものだった。加速時にお尻が沈む感触、うねりを通過した際の緩やかな上下動、ステアリングを切ったときのロールなどが感じられるのだ。それでもエグザンティアと比べれば無駄な姿勢変化は抑えられている。
2.0のパワーステアリングはオーソドックスな回転数感応式。フィーリングはクサラなどと同じで、まったくもって普通だ。この点はV6のほうが特別だった。高速道路での直進安定性は平均的。ノーズが軽いことに加え、パワーステアリングが一般的なタイプとなったことが影響しているのだろう。乗り心地も含めて考えると、一般路を中心に使うなら2.0、高速道路をメインに乗るのならV6が向いていると思えた。
追加発表されたブレークは2.0のみの設定。試乗はできなかったがいろいろ観察できた。注目のラゲッジスペースは相変わらずフロアが低く、タイヤハウスの出っ張りは皆無で、奥行きも十分。2リッタークラスのワゴンではもっとも広く使いやすいモデルに思えた。ラゲッジカバーは15cmほどの幅のハードカバーと巻き取り式ソフトカバーの組み合わせで、ハードカバーには傘を置くのにちょうどいい凹みが設けられていた。
ブレークの最大の特徴は、ラゲッジスペース右側の壁に付くスイッチでフロアの高さを変えられること。リアサスペンションの高さを変えることで実現している。電子制御を多用したハイドラクティブ3ならではの芸当だ。重い荷物の積み下ろしに重宝するだろう。ちなみにこのスイッチはエンジンを停止しているときだけ有効で、エンジンを掛ければ車高がどのようになっていても通常のレベルに戻るようになっている。
走行状況や路面状況に応じて車高を自動的に変えてくれる点もうれしい機構だが、ブレークに装備されるこの車高調節機構は、自分の目でその動きがはっきり分かるだけに、ハイドラクティブ3でもっともありがたい装備に思える人もいるだろう。いずれにしても、シトロエン伝統の油圧サスペンションが新しい時代に入ったことを実感するメカニズムだ。
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