カングーが発表されたのは1997年。4(キャトル)のフルゴネット、2代目5(シュペール・サンク)をベースとしたエクスプレスと続いたルノーの小型ミニバンのカテゴリーを受け継ぐものとして登場した。前作がそうであるように、乗用車仕様のほかに商用車仕様も存在する。そのカングー、昨年スライドドアを両側に付け、ATの選択を可能とするなどの変更を実施したばかりだが、今回またもバージョンアップを果たすことになった。
いちばんの注目はやはり4×4。セニックの場合と同じように、単なる4輪駆動版ではなく、最低地上高を200mm確保するなど、SUV的な成り立ちになっている。ジュネーブ・ショーで発表されたとおり、4WDシステムは前輪がスリップしたときに後輪にも駆動力を伝えるスタンバイ式で、油圧カップリングは日産製となっている。さらにセニックRX4同様、トラクションコントロールシステムが前輪に装備されるという。
外観は前後のバンパーが専用デザインとなるほか、上級の「アルティカ」グレードではバンパー下にシルバーのスキッドガードが追加。さらにこの「アルティカ」には、ホイールアーチのエクステンション、サイドシルパネルのトリムも装着される。ホイールは15インチで、オプションで軽合金製を用意。タイヤはオフロード走行も考慮したタイプで、サイズは185/65R15だ。内装はデザインはそのままながら、カラーコーディネイトは別物で、「アルティカ」ではサイドサポートに優れた専用フロントシートが用意される。
エンジンは、日本でもメガーヌに積まれてすでにおなじみのガソリン1.6リッターDOHC16バルブ。最高出力70kW(95PS)、最大トルク148Nm(15.4kgm)をマークする。さらに遅れて、59kW(80PS)/180Nm(18.7kgm)を発生する1.9リッターdCi(コモンレール式直噴ディーゼルターボ)が加わるという。いずれもカングーには初搭載となるユニットだ。トランスミッションはいずれも5速MTだけとなる。サスペンションはアームやスプリングなどが強化されるほか、リアにはRX4同様サブフレームを装着している。
それ以外のモデルでは、外観はサイドプロテクションモールが太くなり、ドアミラーがエアロダイナミックな形状となった。インテリアはトリム色が変更。フロントドアにはファブリックのトリムが追加された。もともと豊富だった物入れもさらに充実。エアバッグは運転席・助手席前面が標準、頭部保護機能付きサイドエアバッグがオプション。リアシートはヘッドレストが簡単に畳めるタイプとなり、ISOFIXチャイルドシート・アタッチメントも付けられるようになった。
エンジンは、ガソリンは1.4リッターSOHC8バルブに加えて、1.6リッターと1.2リッターのいずれもDOHC16バルブが登場した。前者は4×4と同じもの、後者は本国では昨年からトゥインゴに積まれているもので、55kW(75PS)/105Nm(11kgm)を発生する。この1.2リッターにはLPG仕様も設定される。ディーゼルは今までどおり、1.9リッターの自然吸気とターボ付きで、4×4とは異なる。トランスミッションは全車5速MTが組み合わせられ、1.4リッターにはいままでどおり4速ATの選択も可能になる。サスペンションはセッティングが見直され、リアのトレッドを拡大。ブレーキにはABS、EBVに加えてEBAと呼ばれるブレーキアシストを装着。タイヤサイズは165/70R14から175/65R14に変わって操縦安定性を向上させた。
グレードも一新された。RTEやRXEなどに代わって、下からオーセンティック、エクスプレッション、プリヴィレージュという3タイプが用意される。4×4はオーセンティックとアルティカの2グレードだ。フランスでの発売は2輪駆動モデルが7月、4×4が9月からとなる。果たして日本には噂どおり、今年中に上陸してくれるだろうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。