メカニズムでのトピックは、やはり新世代の油圧サスペンション、ハイドラクティブ3だろう。電子制御を大幅に導入するとともに油圧系は逆にシンプルにしたのが特徴。例えばオイルポンプで発生させた油圧の調節はアキュムレーターではなくハイドロエレクトロニックユニットで集中制御し、車高のチェックはスタビライザーの上下によってバルブを開閉する方式から、センサーを使って調べるようになっている。
このおかげでサスペンションの固さだけでなく、車高をも自動的に換えることができようになった。具体的には車速が110km/hに達するとフロントが15mm、リアが11mm下がり、逆に路面が荒れている時は前後とも13mm上がる。もちろん今までどおり、運転席のスイッチでノーマルとスポーツを切り替えることも可能だ。システムに使うオイルもLHMと呼ばれる鉱物性から、まったく新しい化学合成タイプに変わるようだ。
本国ではガソリン・ディーゼル合わせて5タイプが用意されているエンジンは、まず2リッターのガソリンが導入された。日本仕様のシトロエンではつい最近登場した新型クサラに搭載されている1997ccの直列4気筒DOHC16バルブで、エグザンティアに積まれていたものとは異なる。最高出力は100kW(137PS)/6000rpm、最大トルクは190Nm(19.8kgm)/4100rpmで、エグザンティアと比べると7PS/1.1kgmアップした。トランスミッションは学習機能を持つ電子制御4速ATだが、新たにシーケンシャルタイプのマニュアルモードがついたことが特徴だ。
「それにしても形がなぁ」と思っている人もいるかもしれない。でも歴代のシトロエンはいつも発表当時はそのような声が聞かれたもの。それが生産が終わる頃になるといつのまにか評価されていたりする。今度のC5もそうなるはずだ。現に僕は、パリサロンで初めて見たときはかなり違和感を受けたが、先日インポーターで発表直前の日本仕様を見たときは「悪くないな」と思うようになっている。それに今度のモデルは新世代の油圧サスペンションを採用している。それがもたらす乗り味がどのようなものなのか、試乗できる日を楽しみにしているところだ。
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