4WDシステムは、前輪駆動を基本として、前輪がスリップした場合に後輪にも駆動力を送るスタンバイ式。4WDスペシャリストとして有名なオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ社と共同開発された。後輪に駆動力を振り向けるのはビスカスカップリングで、リアデフの直前に置かれる。さらに前輪には電子制御式トラクションコントロールシステムが採用されているなど、走破性を重視した設計だ。

エンジンの力を前後に分けるトランスファーや、リアに伸びるプロペラシャフトが追加されたことで、フロントのサブフレームは形状が一新。ボディに対して73ミリも低い位置にずらされた。このサブフレームには亜鉛メッキが施されたうえ、保護塗料が塗られているという。リアにも普通のセニックにはなかったサブフレームを採用して、リアデフやサスペンションなどをマウントしている。こちらも亜鉛メッキ仕上げだ。スペアタイヤが外付けとなったのはリアの駆動系が追加されたためで、余ったスペースにはジャッキと輪止めを収納している。

サスペンションは、フロントはマクファーソンストラットのままだが、オフロード走行を考えてアーム類は強化され、スタビライザーは専用パーツとなっている。もちろんコイルスプリングやダンパーも別物だ。リアもトレーリングアームではあるが、スプリングはトーションバーからコイルに変わった。ホイールは16インチで、タイヤサイズは215/65R16と、2リッタークラスのSUVとしては標準的だ。

エンジンはマイナーチェンジとともに普通のセニックにも積まれるようになった2リッターの直列4気筒DOHC16バルブ。101kW(138PS)の最高出力、188Nm(19.2kgm)の最大トルクも共通だ。これに対して車両重量は1470kgと170kgも重くなったが、トランスミッションが日本仕様のセニックでは唯一の5速MTとなるので力不足はそれほど感じないはずだ。

269万円という価格は、前輪駆動セニックのベースモデルRXEの20万円高で、上級グレードRXTとまったく同じ。思ったほど高くないという人が多いのではないだろうか。5速MTのみという設定はたしかに日本では不利だが、逆にスポーティグレードを除いたこのクラスの輸入車としては少数派であるのも事実。モノスペースというボディ形状もSUVとしては個性的だし、ディテールも凝っている。現状では唯一のフランス製SUVということ以外にも、選ぶ理由はいろいろありそうだ。
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