2002年度上半期の新車販売台数が前年同期比を大きく下回ることが明らかなフィアットアウト。この財政危機からの脱却計画の一つとしてフィアット首脳陣が大幅な広告費の削減を発表したことは、前回のフィアット危機関連レポートの中で触れた。
しかし、昨年末あたりからのフィアット車関連TVコマーシャルは、クルマの売り上げには全く貢献しなかったにもかかわらず、イタリア人の脳裏に強烈に焼き付いているものが多かった。
昨年末から始まった低金利ローン&高価下取りキャンペーン用TVCMシリーズは、思わず「クスッ」と笑ってしまうような寸劇スタイルで人気を呼んだ。中でも「男女の出会い編」は、もしイタリアにも流行語大賞が存在していたら、必ず大賞に輝いていただろう、と言えるほど流行したフレーズを生み出している。
このCMを簡単にまとめてみよう。同じアパートの別階にすむ男女の姿がある。男はエプロンにゴム手袋でキッチンで食器を洗っている。一方女は、電話で話しているのだが、語気がかなり荒い。「どうしたんだ?」という表情の男。「どうして来れないの?うそつき!それなら最初に出会った男と出かけるわよ!!」と激怒して電話を切る女。何か良いアイデアを思いついた男。女が玄関のドアを開けると、そこにエプロン姿の男が立っている。そこで男がにっこり笑顔で 「Buona sera 」(ブォナセーラ/今晩は)と一言。
このブォナセーラのイントネーションが何ともおもしろく、無理してカタカナ表記すると「ブォナ・セ~ラ~ァ」となる。http://www.fiat.com/ita/ho/news/bs.asfへアクセスすれば、実物を見ることができる。
この「ブォナ・セ~ラ~ァ」の流行ぶりはすさまじく、テレビ、ラジオのコメンテーターをはじめ、バールやタバコ屋の店員までもが「ブォナ・セ~ラ~ァ」を連発していたほどだ。