いたって快適かつスポーティ
SL350に搭載される3.5L V6エンジンは、型式こそほかのメルセデスと同じですが、専用にチューニングされています。このV6エンジンはもともと非常に緻密な回転フィールを持っているのですが、それに加えて、吹け上がりがより軽くなったように感じられます。
また、7Gトロニック(7速AT)にはブリッピング(空吹かし)機能が追加され、よりスポーティな雰囲気を味わえるようになりました。
SL=スーパー・ライトといっても、車重は意外と重くて1780kgもあるわけですが、ドライブフィールはいたって軽快かつ極めて快適で、そしてスポーティです。
あまりに快適で、いわゆるオープンカーらしい開放感はあるのですが、風の巻き込みやノイズの侵入など、「屋根がない」ことが本来もたらすものが希薄になるほどで、まるで透明なルーフに覆われているかのような感覚に見舞われるほど。空力も、騒音や振動なども、すべて計算されているのでしょう。それにしても、よくできていれば、それはそれで別の「ないものねだり」の気持ちが出てくるというのも、なんとも人間というのは欲張りな生き物であります……。
とにかくスポーツカーというのは、まずスタイリングが重要と思いますが、その点、SLは非常にセクシーで、かつスポーティでダイナミック。まったく古さを感じさせません。そして、エンジンは十分にパワフルだし、走りの一体感もあり、意のままに動いてくれます。
反面、運転感覚には何の不満もないのですが、スポーツカーとかオープンカーらしい刺激的な感覚は薄い、という見方もできるわけで、微妙なところではありますが、そこは好みの問題でしょう。このスタイルを視覚的にも味わい、そしてオープンエアドライブを、あくまで快適な中で楽しめる……SLとはそういうクルマだと思います。
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