ユニークな生い立ちとスタイリング
電磁式のロックを開錠し軽量なドアを開けるとご覧のとおり。太く頑健なサイドシルをまたいでコクピットにアクセスする |
「YES!」というクルマを知っていますか? おそらくご存知ない方のほうが多いと思うので、まず簡単にプロフィールを紹介しましょう。
YES!は、ドイツ東部の古都ドレスデンの北の郊外グロッセンハインという田舎町の「Funke&Will AG(フンケ&ヴィルAG)」というメーカーで生産される小型スポーツカーです。そのフンケ&ヴィルAGは、むこうによくあるコーチビルダーではなく、ベンチャー企業として1999年に設立された会社。2001年にYES!を本国で発売しました。その後、YES!は日本でも2004年よりオートリーゼンが扱っています。
ちなみに「YES!」というのは、「Young Engineers Sportscar」の略とのこと。かつて航空機の格納庫だった建物を改造したという工場で生産されるYES!は、隣接する3.5kmにおよぶ滑走路でテストドライブが繰り返されているとのこと。また、YES!購入者が希望すれば、シェイクダウンやドライビングレッスンをこの滑走路で行なえるそうです。
ユニークなスタイリングは、世界中のどのクルマにも似ていません。写真でもこの異様(!?)な感じは十分に伝わるかと思いますが、いわゆるスポーツカーとしての定番的なデザインではなく、昔の英国製のスポーティカーのような愛嬌もあり、ややパイクカー的なイメージもあります。
いくつかのモデルが存在する中で、ベースモデルのほかに、クラブスポーツや競技仕様のCUP/Rなど、さらにスパルタンなモデルもラインアップしています。
フォルクスワーゲンから供給を受け、独自のチューニングを施したエンジンは、大別して1.8Lターボ(286ps)、3.2LV6の自然吸気(255ps)と同ターボ(355ps)の3タイプが用意されています。価格は順に、1039万5000円、1144万5000円、1354万5000円と、けっこう高価です。
ボディサイズは全長3.8m、全幅1.8m、ホイールベースは2.5mを切るというコンパクトサイズ。 |
ドアは跳ね上げ式で、一番上の写真のようにセミの羽のような開き方をします。ソフトトップも用意されていますが、折りたたむのではなく、バラして取り外すタイプで、脱着はかなり手間がかかるのは泣きどころかもしれません……。
コクピットは、このクルマがモノコックではなく、アルミのスペースフレームで骨格を形成していることは一目瞭然。シートはバケットタイプで、コクピットは今どきのクルマとは一線を画するシンプルな構成となっています。
スパルタンなコクピットは、乗り込んでしまえば想像以上にスペースが広く、上質なレザーを用いるなどクォリティを高く仕立てたという意外な側面も。よく見ると各部にフォルクスワーゲンの部品が使われていることに気づく |
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