だが、筒井氏や水上氏の言葉を聞いていると、そうじゃない人たちが確実にいるということを痛感するし、そういうクルマを作ろうとする心意気を持った日本の自動車メーカーがあるのだということを教えられて嬉しくなる。おそらく2人は、まず基本的な走りを構築するにあたって、走りの質やダイナミクスに優れたBMWやメルセデスに負けたくないという思いがあり、そのために心血を注いで開発を行う。そしてその上で、独自性や「らしさ」といえる、あちらとは違う方向性を見いだそうとしているのである。
負けたくない、という言葉は同時に、一番になりたい、という風にも聞こえる。それはまさに、ホンダのホンダらしい部分。チャレンジング・スピリットをむき出しにして、優れたクルマを作り出そうとするその姿勢には改めて感激を覚える。
今回のマイナーチェンジで、筒井氏と水上氏、そして開発に携わったスタッフによって魔法がかけられ、新たな走りを手に入れたインテグラ。もちろんこのモデル単体の走りも素晴らしいが、何よりも期待できるのは、ここで構築された新たな世代のホンダの乗り味・走り味-スポーツ編-が、今後のモデルに反映される可能性を持っている点である。
さあ、次は何に魔法がかかるのか? それともまだ誰も見たことのないクルマにとびきりの魔法がかけられているのだろうか?
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