日本へは既に並行輸入の形で昨年夏上陸していたので、新しさという意味ではやや弱いが、とにかく販売台数が少ないこの手のクルマを正規導入するには乗り越えるべき試練が多くあるので、それを超えて導入できたことには拍手を送りたい。ただし、販売される台数は100台限定となる。これは致し方ないところか。

オペル・スピードスターはロータスエリーゼと共用部品を使うモデルだけに、単にエリーゼのガワ違いであると思われがちだが、実は共用部品というのは全体の2割程度であり、残りは全てオリジナルだと説明があった。ただ、実際にクルマを見ると、おそらくそのアルミ接着式バスタブ型モノコックは共通であり、サスペンションなども同じ部品を使っているようである。

とはいえスピードスターは細かな部分がエリーゼと異なる。実際ホイールベースはエリーゼに対して30mm長くとられており、タイヤもエリーゼより一回り大きなフロント175/55R17、リア225/45R17サイズを装着することもあって、トレッドも前後ともに広がっている。

そして搭載エンジンではエリーゼの1.8L直4であるローバーKシリーズユニットに対し、スピードスターではアストラなどにも搭載される2.2Lの直4ECOTECエンジンが与えられている。数値関係でエリーゼと最も違うのは、その車重で、エリーゼと比べ約200kgの差となる870kgとなる。これでも一般的な乗用車から考えれば大分軽いのだが。

こういった数値の大きさが示すように、走りはやはりエリーゼよりも重厚な感触に溢れていたのだった。走らせた瞬間から、エリーゼにはないドッシリ、ガッシリとした感じが伝わってくる。これは決して重すぎるというのではなく、安心や頼もしさを感じさせる良い意味での重さである。

ハンドリングもやはり車重を感じさせるもので、ヒラリヒラリとコーナーを駆け抜けていくエリーゼに対して、

こちらは穏やかさや落ち着き感を伴うものとなっている。もちろんここでも鈍重な感じは決してなく、確かさや手応え感の強い軽快さとでもいおうか。

エンジンは一言実用的だ。低回転から太いトルクを出して、870kgのボディをグイグイと前へ押し出してくれるだけの実力がある。だがその特性からも分かるように、スポーツカーらしい官能的な部分はない。あくまで仕事をきっちりこなすという感じである。個人的な要望として、シフトはもう少しカッチリしていても良い気がする。

今回試乗したのはツインリンクもてぎの西コース。コース自体は単純だが、スピードスターにとっては広い場所なので、少々の無理が利く。そこで例えばコーナー進入時にブレーキを残して向きを変えてみると、スピードスターはここでも落ち着きを忘れない動きを示した。

4輪が全て流れていくような状況にあっても、流れそのものは穏やかな推移なので、操作を与えていくだけの時間的な猶予が大きく、不安を感じさせない。だから一度動きの特性をつかんでしまえば、後は安心して操作していける。実にコントローラブルだ。

ただ、車重はエリーゼに比べ重いので、切り返すような状況ではややクルマの動きに遅れが出る傾向も確認できた。もっとも公道では、そこまで到達しないだろうから、逆にいえば高いスタビリティと落ち着き感を感じながら安心して走ることができるだろう。頼もしい感触に支えられて、気分よくコーナーを駆け抜けることができるはず。

最後に、気になる価格は458万円。正規ものであることを考えれば、エリーゼとほぼ同等といえる。ちなみにスピードスターはボディ&インテリアカラーが豊富なのが特徴で、外装は全13色、内装は全5色、トップのカラーは全4色で、組み合わせとして82種類の中から好みを選べる。
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