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新型に生まれ変わったらタイプRはどう進化したのか? 新旧インテグラタイプR比較(4ページ目)

2001年に新型に生まれ変わったインテグラタイプR。シビックに代わりホンダのワンメイクレースに採用されるなど、ホンダFFスポーツの頂点に立つ、インテグラタイプRの魅力に迫る。

執筆者:河口 まなぶ

シャシーにおける性能差は、まるで車格の違うクルマ同志を比較するようなものだった。乗り心地とハンドリングの高い次元での両立が新型にはある。ここはまさに時代の差、といえるものであろう。

何よりまず凄いのは、旧型よりも高いレートや減衰力を持つサスが与えられるにも関わらず、乗った感じは新型の方が明らかにサスがしなやかに動く。クローズドサーキットでは、こちらの方がソフトなのでは? と思えるほど。それほど足が良く動き、ストロークがたっぷりした感じに溢れているのだ。

だから路面のとらえ方も旧型とは全く異なる。旧型の場合は、いかにもタイプRという名を彷彿とさせるハードな感触で、操舵に対して非常にクイックにクルマが反応する。路面の不整では身体が揺さぶられることもしばしば。このクイックさと揺すられ感によって、ドライバーはかなりダイレクトなクルマだという印象を持つ。すると旧型の方がスポーツ度が高いのでは? とさえ思えるのだ。

しかし新型は一瞬ソフトに感じさせる足の動きが、極端に言えばどこまでいっても大丈夫だと思わせるほど、高いスタビリティを確保し続ける。特にリアサスの粘る様は尋常ではない。例えば180km/h近くからブレーキングしつつ舵を入れていく時、先代では当然リアの安定性が失われ、リア回り全体がグラグラした不穏な動きとなるのに対し、新型はピタリと路面をとらえ続け、離してしまうような感じは一切ない。

このスタビリティの高さは、コーナー侵入時に姿勢を変化させていく時にも大きな違いとして表れてくる。例えば3速で駆け抜けるコーナーにおいて、先代では減速+操舵で躊躇なくリアがズバッと出るわけだが、新型ではいかにもタイヤと路面が摩擦しながらリアがスライドしていくことを情報として伝える。 スポーツカーの楽しさは、減速方向におけるスライドの収束、つまりターンインでいかに姿勢が思い通りに決められるかにあるわけが、新型はその辺りのツボを的確に突いている。ドライバーが気持ちよいと感じる収束の時間軸をわきまえたセッティングだ。

また新型では、フロントサスの接地性も驚異的。なぜならこのクルマは脱出時に、FFのセオリーを無視するかのような強烈なトラクション性能を確保できるからだ。FFの場合はそれなりに姿勢を変化させた後にスロットルを開けないと、いくら踏んでもクルマは前に進まないが、新型ではやや舵角が大きいなと思える状態でも、グイグイとノーズを引き込むほどの駆動力が確保される。しかも、ヘリカルLSDによって左右輪で回転差が生じていることを、手の平を通して伝える。単に接地感があるのでなく、そこには接地そのものがしっかりと存在することを伝える。
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