ハードウェア別のムラーノのラインナップは3.5LのFFと4WD、2.5LのFFの3タイプ。北米仕様は3.5L4WDのみの設定で、FF車は3.5L、2.5Lともに国内市場向けに設定されている。
中でも300万円切った価格設定の2.5L車は注目。消費税込み価格でトップエンドの3.5L4WD車より約90万円、同FF車よりも約58万円も安いのだ。
V6が直4になり、排気量は約30%ダウン。ATはCVTではなく、今やポピュラーな電子制御4速型。シート地は本革からファブリックへ変更、DVDナビが標準からオプションになってしま。ちなみにDVDナビのオプションはモニターを標準装着していることもあり、15万3300円(オーディオ&ハンズフリーフォン・ステアリングスイッチとのセット)。FF3.5L車との差は本革シート(シートヒーター付)とエンジン違いで、42万円強の計算になる。ならば目立って走りの質感や快適性の低下がなければ、これでいいかなと、と考えるのが人情だろう。
実際に試乗した印象は「おっ、良いじゃない」なのである。
1640kgの車重に163ps/25.6kg-mのパワースペックでは余裕がない。ちょっとした加速や登坂で、すぐにダウンシフトするし、高回転を使う頻度もアクセル開度も大きくなってしまう。しかし、悪い気はしない。ダウンシフトが頻繁なのは、アクセル開度を深く踏み込む前にダッシュを利かせるための変速制御。深く踏み込んでからのダウンシフトではないので、変速ショックも少ない。大排気量4気筒にしては高回転域でも息苦しくならず、連続して高回転を維持するような走り方をしても、それほど圧迫感を感じなかった。
フットワークは4WD3.5L車を基本として、重量配分や駆動方式の違いに合わせてチューンをし直している。とはいえ、V6から直4に代わった前輪荷重の減少や4WDに比べて4輪の負荷バランスの変動が大きくFFの変化は否めない。操舵した時のフロントの沈み込み、戻した時の伸び上がりのストローク感に粘りが欠ける。車体の動きが大きく、落ち着きが低下している。
しかし、そういった特性の変化は良く言えば軽快感の向上であり、追い舵の追従性は4WDモデルよりも鋭いくらいである。直接乗り比べると、やはり4WD3.5Lモデルのほうが重厚さと滑らかさで勝り、車格感で上回る。ただ、段違いというほどの大きな差はなく、FF2.5Lモデルでもムラーノの雰囲気や車格感を味わうには十分である。むしす雰囲気優先ならば2.5Lモデルを選んで、その分でオプションを充実させたほうが費用対効果が圧倒的に高い。
残念なのは2.5LモデルがFFに限定されることだ。ムラーノの雰囲気を味わうにはこれで十分と思っても、ウインターレジャーやアウトドアユースを考えれば4WDを望むドライバーも多いだろう。で、いきなり約90万円高では、ちょっと敷居が高すぎる。FFの20万円高くらいで2.5Lに4WDモデルを追加して貰えれば、間口が一気に拡がると思うのだが・・。
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