オデッセイ型のフットワークは、サードシート(後席)の乗員の乗り心地を考えても賛成はできない。後輪の荷重変化が大きいこと、あるいは横Ｇ(コーナリングフォース)の立ち上がりが唐突になりやすく、ワインディングロードでは左右に振られるような揺すられ方になる。乗り物酔いしやすい人には非常に厳しい乗り心地である。ところが、その後に登場したストリームはまったく違っている。頑固なまでに弱アンダーステアを維持。コーナリング限界まで前後輪のストレスバランスを大きく変化させない。こういった特性なのでコーナリング中の減速も容易である。コーナーの奥がさらに深くなっていれば、スロットルオフや軽いブレーキングで速度を落とせばいい。しかも、ミニバンとしてはワインディングロードでのアベレージを段違いに高くできる。ストリームは、寸法やシートの造りがハンデになるが、サードシートに座った時のフットワークの印象は好ましいものである。
新型CR-Vの走りは、こういったホンダ車のフットワークの変化に則したもの。表面的な、あるいは粗野なスポーツ感覚を求めるドライバーにはおとなしすぎるように感じるかもしれないが、扱いやすさと安心感、コントロール性のよさは高く評価できるもの。さらに、同乗者の立場からすれば先代よりも車格そのものが向上した気さえするほど。ディーラーの短時間の試乗では、乗り心地くらいしたよさが分からないかもしれないが、長い距離を走るほどに、「選んで良かった」と思わせるタイプ。走りの洗練からSUVを嫌っていたドライバーも、ちょっと試してみる価値のあるクルマである。
