今後はテストコースが増えるのか?
近年は国際レースの開催が減っているが、国際レースは国内レースよりもはるかに経費がかかり、労力も必要。F1のように集客が見込めるレースはいいが、知名度の低い国際レースは集客するためのプロモーションも大変だ。主催者やサーキットは相当な苦労をして国際レースを開催しているのが現実だ。簡単に儲かるのであれば、それこそ開催権の取り合いが起こっているはずだ。 |
今後、レース業界、モータースポーツ業界の冷え込みが続けば、サーキットが生き残る道は自動車メーカーが高速実験を行うテストコースとしての転用しかない。2006年にマツダのテストコースになった「MINEサーキット(山口県)」や、レース開催は続けているものの川崎重工傘下に入り二輪車のテストコースとしての役割も担う「オートポリス」などはその代表的な例である。しかし、自動車・バイクメーカーの経営状態が厳しくなった今ではサーキット買収・テストコース転用の先行投資は難しく、しばらくの間、サーキットは自分たちの企業努力で生き残っていくしかない。
では、何で儲けていくか? レース業界の人気が上がればよいのだが、そう簡単に盛り上がるものでもなく、日本の自動車メーカーがそのキッカケを摘んでしまう時代には何ら期待できる要素はない。であれば、サーキットとしてはコースの稼働率を上げていくしかないわけで、各サーキットは知恵を絞ってイベントを開催したり、リーズナブルな値段でイベント主催者にコースを貸したりしてコツコツ収入を得ていくしかない。逆に儲からないもの、利益率の悪いものはバッサリ切り捨てて行くしかないだろうし、レースファンが望む理想とはかけ離れたものになっていくことも考えられる。
最新鋭の設備を持つサーキットもあれば、驚くほど古いままのサーキットもある。観客のホスピタリティ面でも格差が広がっており、古いサーキットは施設改修をしなければ次の時代に生き残れない。また施設を改修した富士、鈴鹿は利益を生みだし、その設備投資分を取り返さなければならない。 |
ミニサーキットが続々誕生したが・・・
興行型レースを開催するサーキットが経営に苦しみ、テストコースに転用される例がある中で、好景気も後押ししてか、ここ数年で全国に1周1kmから2kmのミニサーキットが次々に誕生した。大型のサーキットよりも低コストで運営でき、コースを走りたいユーザーが増えれば、利益率は非常に高い。ミニサーキットの経営は地味ではあるが、モータースポーツ業界のビジネスモデルとして新しい流れになっていた。ミニサーキットではレーシングカートやミニバイク、軽自動車などのレースが行われ、ユニークな耐久レースやドリフトのイベント、他には「ママチャリ」によるレースなども開催され、自由な発想でユーザーを獲得してきた。また、バイクショップやカーショップ単位での貸切走行会なども盛んに行われ、敷居の低さと低料金で多くのユーザーがサーキット走行を体験することができた。
こういったエントリーユーザーが大型サーキットで開催されるレースの参加者になってくれればモータースポーツ界は潤い活性化する可能性があったのだが、景気の後退でその図式は見事に絵空事になろうとしている。
ミニサーキットの走行は値段も手頃で、煩わしい手続きもそれほどなく、気軽に楽しめたものだ。しかし、「お小遣い程度」でサーキット走行が楽しめるという嬉しい環境でも、今やユーザーがそのお小遣いも捻出できない状況になってしまって、サーキットを走る人がすっかり減ってしまっているのが現実だ。一方で金銭的に余裕のある高級スポーツカーのユーザーはF1的なセレブな雰囲気を好み、山の中にあるミニサーキットが相手にできる顧客ではない。今後、モータースポーツに興味のある人が減り続ければ、ミニサーキットも厳しい経営を強いられるだろう。
そんな中、今ブームの兆しを見せているモータースポーツがある。