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フェラーリを感じるイタリアの旅(5ページ目)

熱狂的なフェラーリファン=「ティフォシ」の大声援で盛り上がるF1イタリアGP。レースファンなら一度は訪れたいイタリアをガイドが旅行。第1回はF1イタリアグランプリの観戦レポートをお届けします。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

レース中盤からブラウンGPがリード

この日の決勝レースはマクラーレンのルイス・ハミルトンがポールポジションからスタートし、逃げる展開。フェラーリのライコネンはKERSシステムを活用し、スタートで2番手に浮上。しかし、高速コースで突然急浮上してきたフォースインディアのエイドリアン・スーティルに追いかけられていた。KERSがあったからライコネンはポジションをキープできたものの、マシンのバランス面ではフォースインディアのマシンが勝っていたのは明らか。このまま2位ならハミルトンに何かが起これば優勝の可能性もあったわけだが、途中、ブラウンGPのバリチェロとバトンがピットインのタイミングをずらしたことで、ブラウンGPが1回ピットストップを減らす奇襲作戦に出たことが明らかになる。

2回のピットストップ作戦を行ったチームが後退し、ブラウンGPの2台が前に出た時、ライコネンが駆るフェラーリは4位となり、ティフォシ達のテンションも急に下がり始めた様子だった。
予想外に?好走したブラウンGPのバリチェロ。

ライコネン、タナボタの3位。それでも大騒ぎ!

ところがレース終盤、帰り支度を始めていたティフォシ達が急に騒ぎ出した。3位走行中のハミルトンが不可解なクラッシュを喫し、フェラーリのライコネンが3位に浮上したのである。その瞬間、サーキット全体は革命でも起こったかのような大歓声に包まれ、ティフォシ達のボルテージは最高潮に達した。

イタリアGPの地、モンツァではレース後の表彰台の下はファンで埋め尽くされることでお馴染みだが、レース終了後にコースがファンに開放される。フェンスゲートが開いた瞬間、表彰台でのライコネンを一目見ようとティフォシ達が一目散に走り出した。それは本当に何かの事件を見ているかのような光景だった。
表彰台の近くに集い、熱狂するティフォシ達。

優勝したバリチェロ、バトン、そしてフェラーリのエースであるキミ・ライコネン。ティフォシ達は長年フェラーリで活躍したバリチェロの優勝も大きな拍手で称えていた。
【写真提供:Bridgestone Motorsport】
今年、60年目の参戦を迎えたフェラーリ、そして60回目の開催となったイタリアGP、59回目のF1イタリアGP開催となったモンツァ。その歴史の長さは日本の倍以上のものである。しかし、歴史こそ短いが、日本のF1は成熟し、おそらく日本のF1ファンは世界一熱心にレースを研究し、応援している。イタリアでのF1を体験してよくわかったことだ。

日本GPと比べて、イベントとしての賑やかさやサーキットのサービスという意味ではイタリアGPは実に簡素なものだ。でも、長くF1を見続け、親から子へ、子から孫へと受け継がれたF1の楽しみ方を知っているイタリアのファンにとっては、応援する対象があればそれだけで充分なのかもしれない。

やはり「楽しむ」という観点においてはイタリアのティフォシたちにはかなわない。しかし、日本のF1やモータースポーツもさらに歴史を刻みながら、いつの日かイタリアで見た光景のような姿になって欲しいと私は心から思ったのだ。

誰かが言った「F1は文化だ」と。今の日本のF1だって既に文化になっているかもしれない。しかし、数字ばかりを追いかけていては、このスポーツはいつまでたっても本当の意味での文化にはなりえない。このスポーツをもっともっと成熟した文化にし、定着させるためには、もっともっとこのスポーツを愛することが必要だ、と感じたモンツァの1日だった。
レース終了後はコースを歩いて1周できる。

次回はフェラーリの本拠地、マラネロ訪問記をお届けします。お楽しみに。

【関連リンク】
Bridgestone Motorsport
↑F1全チームにタイヤを供給。サイトは情報が盛りだくさん

F1日本グランプリ 公式サイト(鈴鹿サーキット)

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