大きく変わったマシン規定!小さなリアウイングも特徴
スリックタイヤの導入で、マシンのダウンフォースを減らすように空力面で制限が加えられた今年のマシンをBMWザウバーの写真で見てみよう。昨年型のマシン |
BMWザウバーF1 今年のテスト時のマシン 上記の昨年型と比べるとその雰囲気の違いは歴然である。まず特徴的なのがリアウイングが小さくなったこと。まずこれはダウンフォースを削減するという目的があるが、ウイングを小さくすることによって後方への空気の整流が安定しオーバーテイクの増加すると目論んでウイングは小さくするように規定された。さらに昨年までは大きなリアウイングに効果的に空気を流して強烈なダウンフォースを得ようとクニャクニャとしたパーツが多数ついていたが、空力効果を狙ったパーツ、突起物の装着は禁止されマシンがスッキリした。こういった突起物はマシンの後方に乱気流を発生させる大きな要因であったため、今年のマシンは昨年までのものに比べるとオーバーテイクしやすいはずである。逆にフロントウイングは大型化し、低く設置するように規定されている。 【写真提供:Bridgestone Motorsport】 |
上記の2枚の写真を見ても分かる通り、ダウンフォースを削減するために大きな制限を加えたのが2009年のマシンの特徴である。乱暴に言ってしまえば、これまで長年に渡って開発作業が行われ進化し続けてきたF1マシンの空力性能が一旦リセットされたような格好だ。
その2009年規定にうまく合わせ込んだチームは?
2009年の新規定を熟考し、最も最適なマシンを作り上げてきたのが、撤退したホンダの遺産を使用する新生チームの「ブラウンGP」である。新生ブラウンGPで走るルーベンス・バリチェロ。 メインスポンサーは無く白いカラーリングである。 【写真提供:Bridgestone Motorsport】 |
ブラウンとはチーム代表のロス・ブラウンのことである。彼は2007年末にホンダのチーム代表に就任して以来2009年に向けてホンダF1の新マシン開発を率いた。2008年シーズンをほぼ捨てた状態で全てを2009年型のホンダF1に注ぎ込んできたが、昨年末にホンダはF1から突然の撤退を発表。2009年の躍進が期待できただけに残念な撤退であった。ホンダは撤退後の処理で、F1のためにイギリスで働いていた従業員の雇用を第一に考え売却先を探すも適正なオーナーが見つからず、マシン開発に尽力したロス・ブラウンに売却した。 写真はデビュー戦でいきなりの優勝を果たし、笑顔で表彰台にあがるバリチェロとバトン、そして中央のロス・ブラウン代表。 【写真提供:Bridgestone Motorsport】 |
すでに多くの方がご存じの通り、ブラウンGPは開幕戦のオーストラリアで1-2フィニッシュを飾り、第2戦のマレーシアも制してチャンピオン街道をばく進中である。2月半ばまでテストも参加できずに出場すら危ぶまれたチームがチャンピオン街道を行くとはまさにF1始まって以来のミラクルである。
忘れてはいけないのはブラウンGPの秀逸なマシンはホンダの資金で作られたものである。2009年に向けて全てを集中させて作ったマシンであるからこそ、他チームを出し抜く速さをもっているのである。新規定に切り替わるタイミングの今年だからこそ起きたミラクルであり、昨年だったらテールエンダーに甘んじていたかもしれない。