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世界はロッシを中心に周っている!(2ページ目)

MotoGPロードレース世界選手権「日本グランプリ」のプレビュー第2弾はヴァレンティーノ・ロッシをピックアップ。4連勝で年間チャンピオンに王手をかけたロッシの魅力を解説します。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

2ストから4ストへの過渡期を器用に渡ったロッシ!

2000年、バレンティーノ・ロッシはホンダから最高峰クラス=GP500に参戦。前年に引退したミック・ドゥーハンの代わりとなるニュースターの登場をファンが待ち望んでいた時期だ。イタリアのビールブランド、ナストロアズーロのカラーリングをまとったホンダNSR500を駆り、1年目は2勝でランキング2位。そして翌年の2001年には一気に力をつけて、ロッシはまたもや参戦2年目でチャンピオンを獲得したのである。ロッシは僅か22歳でGP125、GP250、GP500と3クラスでの世界チャンピオン獲得を達成してしまったのだ。
ロッシがGP500で初の王者に輝いたホンダNSR500
【Honda Collection Hall 写真:辻野ヒロシ】

かつては父も戦ったGP500で夢の世界チャンピオンに輝いたロッシだが、その翌年には新しい課題が待ち構えていた。2002年より最高峰クラスがMotoGPクラスと改称され、これまでの排気量500cc/2ストロークのエンジンを搭載したGP500と排気量1000cc4ストロークのエンジンを搭載した新レーサーMotoGPが混走するレースとなったのだ。

2ストと4ストではマシンの性格が異なることはもちろん、ライダーも4スト独特の乗り方をマスターせねばならなかった。GP500のモンスターパワーを乗りこなすことに慣れてきたベテランたちが4ストマシンに苦しむ中、ホンダが投入した新4ストマシン=RC211Vをロッシは器用に乗りこなし、開幕戦の鈴鹿での優勝をスタートに前年と変わらない11勝をあげ2年連続のチャンピオンを獲得。4ストロークへの高い順応性を見せつけ、自らの完璧な才能を世界に向けて証明した。
2003年、完全4スト化されたMotoGPクラスで16戦15勝をあげたホンダRC211V。ホンダが圧倒的に優位にたっていた年だった。2003年ロッシは9勝をあげ3年連続のチャンピオンを獲得した。【Honda Collection Hall 写真:辻野ヒロシ】

決断の時!ヤマハへ電撃移籍!ロッシの新たなる挑戦

3年連続で最高峰クラスに輝いたロッシは翌2004年からヤマハへの電撃移籍を発表した。常勝ホンダを離れるというチャンピオンの無謀な移籍は世界中のロードレースファンを驚かせた。「勝って当たり前」のホンダの環境に飽き飽きしていたとも言われるロッシにとって、この移籍は新たなる挑戦のスタートだった。
ゴロワーズカラーのYAMAHA YZR-M1(ロッシ車)
【写真:辻野ヒロシ】

驚くべきは前年までホンダに負け続けたヤマハのマシンで開幕戦から勝利したことだ。ヤマハのマシンの戦闘力以上を引き出しレースに勝利するロッシのその姿は、ファンを驚かせたのはもちろん、何よりヤマハの技術者たちを発奮させた。技術者たちの努力もあってヤマハYZR-M1はレースごとにその実力を増し、ロッシとヤマハは2004年の世界チャンピオンに輝いた。

F1のミハエル・シューマッハがフェラーリを復活させたように、ロッシはヤマハを再びスターダムにのしあげることに成功した。シューマッハは数年かかったが、ロッシは初年度でその偉業を成し遂げ、しかも翌2005年もヤマハを2年連続で世界チャンピオンの座へと導き、自身は5年連続の世界チャンピオンを獲得したのである。向かうところ敵なし。その言葉を誰も否定できないほど、MotoGPはロッシの帝国になってしまった。

もうロッシにはチャレンジするものが無くなったように見えた。この頃さかんに噂されたのは4輪のF1グランプリ転向だ。引退間近のシューマッハに代わる次世代F1スターとしての電撃的な転身も予想されたが、ロッシは結局ロードレースの世界に残ることにした。

次のページではロッシが世界中からひっぱりだこになるその理由、人気の秘密に迫ります。
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