圧倒的な速さを証明した小暮卓史
小暮卓史 |
かつての小暮といえば、無我夢中で前のマシンのインに切れ込んでいく”ファイター”ぶりが魅力だった。
言い換えれば”クラッシャー”的な要素もあったわけだが、今年になって特に成長振りが著しい。他を圧倒する速さはそのままに確実性が備わり、後半戦にはレーサーとしての強さが如実に現れてきた。
今年の小暮の速さはきっとF1でも通用する。そう思った関係者やファンは多かったのではないだろうか?後半3連続ポールを獲得し、今季4度目のトップチェッカーを受けた瞬間、小暮のこれからに対する期待は最高潮に達していた・・・
小暮卓史のドライブしたPIAA NAKAJIMAのローラ・ホンダ 神奈川県出身の27歳。入門フォーミュラのFJ1600からの”叩きあげレーサー”。02年に全日本F3選手権を制し、マカオGPでも3位表彰台にあがる。03年にはフォーミュラニッポンにデビューし、今シーズンは04年以来の優勝を飾った。SUPER GTではTAKATA童夢NSXをドライブしている。 |
僅か0.5mmで失ったチャンピオンの肩書き
前述の通り、小暮卓史は最終戦のレース後の車検で違反が発覚し失格の裁定が下りチャンピオン獲得は幻になってしまった。レース底面に貼りつけるスキッドブロックと呼ばれる木製の板の厚みが足りなかったのだ。その不足分は僅かに0.5mmとのこと。0.5mmなんて極細ボールペンの数値でほんの僅かな差のように感じられるが、車高→空力→ダウンフォースに関わる部分であり、センシティブなレーシングカーにおいては誤差の範囲とは認められない。チームによれば決勝レース中に路面に底を擦る箇所があり、路面との摩擦で木製のスキッドブロックが予想以上に削れてしまったとのことだ。
サーキットにはチームが自由に寸法や重量を測定できるエリアがある。ここで規定に合致しているかチームが確認をする。スキッドブロックがレース後にどれだけの厚さになっているかは予想できませんと言うものであるのなら、スタート前に全車チェックできないものなのか? |
それにしても後味が悪い結末だった。この失格裁定、チャンピオン獲得者の変更が伝えられたのはファンが家路に着いてからのこと。さんざん表彰式で盛り上がって、満足して家に帰ってネットを開いたら、勝者、チャンピオンが変わっていた!なんじゃそりゃ!?ってわけだ。
まぁルールはルールであり、これもレースなのだから仕方ないとしても、この件に関して関係者にも周知できる詳しい説明、初心者にも分かりやすい分かりやすい説明が統括団体からもっとなされるべきだ。初めて観に来た観客は何のことだかさっぱり分からない事態だっただろう。
一体誰が悪いのか?ドライバーは悪くないのに全て無駄になるの?そんな素朴な疑問は「仕方ない」で片付けてよいものなのか?
ファンを減らしかねない事件であるにも関わらず、何事も無かったかのように進んでいく日本のレース界は不思議な世界だと改めて感じた一件だった。
フォーミュラニッポンはどこへいく? ガイド自身はフォーミュラニッポンという名称の変更を希望していましたが、フォーミュラニッポンの名がこのレースには相応しいと思った次第です。 |
まぁ暗い話ばかりしていても仕方ないし、何よりドライバーやちゃんと考えてやっている関係者の努力も報われない。松田にはチャンピオンとして来年は一皮剥けたシーズンを期待したいし、小暮には真のチャンピオンになってF1のシートを掴んでもらおう。2人とも腐らずやってほしいものだ。ファンの皆さんも両ドライバーの2008年を心から応援して欲しい!
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