超接戦、ぶつけ合い!緊張感あふれる超スプリントレース

狭いギアサーキットでマシンを破損しピットへと戻るヤン・マグネッセンのBMW。
(写真:Yoshi KITAOKA)
WTCCは1イベント2レース制が敷かれ、1レースの走行距離がおよそ50kmという超スプリントレースになっている(F1は1レース約300km)。

レースの周回数が短いので、遠慮している暇は無い。スタートからフィニッシュまで常に大接戦が繰り広げられるため観ていて絶対に面白いレースなのだ。そして、少ないチャンスをモノにしようとするアグレッシブなドライバーが集っているためクラッシュも接触も当たり前。
まさに短気なドライバーが戦う短期集中決戦!
こんなエキサイティングなレースは他にはないだろう。

重量ハンデとリバースグリッドでさらに面白く

WTCCには接戦を生み出すレギュレーションが設定されている。
(写真:Yoshi KITAOKA)
WTCCが毎回接戦となる要因はレギュレーション(ルール)にある。

ツーリングカーレースは結果が市販車のイメージアップにもダウンにもつながるためメーカー間の開発競争が過熱しやすい。これまで幾度と無く行き過ぎたメーカー間競争でツーリングカーレースは栄枯盛衰を繰り返してきた。WTCCでは参戦するメーカーと密なミーティングが行われているそうで、特定のメーカーの独走とならないようコンセンサスが図られている。

その最たるものが「重量ハンデ」だ。日本のSUPER GTでも採用されている重量ハンデだが、SUPER GTとは若干異なる。レース結果に基づき重量ハンデが課せられる他、累積ポイントにもハンデが課せられるため、シリーズポイントを獲得すればするほどシーズン後半は厳しくなる。重量を詰まれたら、そこからはメーカーの開発研究の成果とドライバーの腕の見せ所だ。

オレンジのセアトを駆るトム・コロネル。第1レースは7位だったため、フロントロウの2番手スタートとなった。
また第1レースは計時予選を元にグリッドが組まれるが、第2レースは第1レースの着順を元にグリッドが組まれる。

しかしながら、上位8台だけには「リバースグリッド」というレギュレーションが敷かれグリッドが逆になる。

詳しく説明すると、8位でゴールしたドライバーが第2レースはポールポジションから、トップでゴールしたドライバーは8番手グリッドとなり、2連勝を飾るためには追い上げが必要となってくる仕組みだ。

2レース間の修復時間はたったの15分しかない

第1レースを終えてピットに戻り、壊れたマシンの修復の指示を出すガブリエル・タルキーニ。相当エキサイトしていた様子だった。
接触やクラッシュが当たり前のWTCCではマシンを修復するメカニックが一番大変だ。

第1レースを終えてボコボコになって帰ってきたマシンのバンパーやパーツを交換し第2レースに挑むわけだが、メンテナンス可能な時間はたったの15分しかない。この決められた15分の間しかマシンを修復・整備することは許されず、ピットはまるで戦場のようになる。

制限時間一杯まで使って必死になってマシンを修復するセアトのメカニック達。
ブザーがなってリペア可能な時間が訪れると、メカニック達の怒号が鳴り響き、時にはパーツをビュンビュン投げあって連係プレイでマシンを修復していく。

感動的な手際の良さはさすが「世界選手権」である。そう、メカニックもみんな戦っているのだ。そしてピットロードがオープンになると、先ほどまでの傷ついたマシンが嘘のように思えるほどピカピカの状態で第2レースに旅立たせていくのである。

バンパーやボディには多くのスポンサーロゴが貼られている。全世界に向けてテレビ放映されているだけに「時間が無くて修復できませんでした」では済まされないのだ。

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