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ガソリンエンジン並にクリーンな排気ガスを実現したホンダのディーゼル車 |
トヨタとホンダしか……
経済産業省は2015年度までに自動車の燃費を現在より約2割向上させた新基準をメーカーに義務づける方向だと言う。新しい基準が本決まりになれば、近い将来日本は、世界で最も燃費の良いクルマを売っている国になるだろう。この基準をクリアするにはどうしたらいいか? 「現在より5%の改善」なら、今売っているクルマの改良で対応可能。しかし20%となると、もはや通常のガソリンエンジンじゃ対応不可能。80kgの体重の人に「4kg減量しなさい」は努力で何となるが、16kgの減量となれば、抜本的な生活環境から見直さなければならない。それと同じ。
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ディーゼルながら全くの無臭。黒煙も限りなくゼロ |
具体的にはディーゼルエンジンかハイブリッドが必ず必要になってくる。「だったら開発すれば良いではないか」と思うだろうけれど、いずれも技術的な高いハードルを超えなければならない。例えばハイブリッドについて言うと、トヨタとホンダしか実用化できておらず。ディーゼルの場合、ガソリンエンジンと同じくらい排気ガスをクリーンにしなければ、厳しい排気ガス規制のある日本とアメリカで市販出来ません。今のところディーゼル排ガスのクリーン化技術を確立したと公表しているのはホンダのみ。これまたハイブリッドと同じくらい難しい技術なのだ。
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ホンダが開発したアルコール燃料で走るクルマ |
大本命は「植物アルコール」
一時期「次世代エネルギーの本命」と話題になった燃料電池は、少なくとも私が生きている間に乗用車用のパワーユニットとして実用化されることなどないと思う。「燃料」に使う「水素」を効率よく運ぶ技術が見つかっていないばかりか、環境にもやさしくない。自然環境から水素を作り出す時や、燃料電池車を生産する際に発生する二酸化炭素の量を積算すると(生産から廃車までに出す総合排出量)、小型のディーゼルエンジン車より多くなってしまう。
ノーベル賞モノの物理的な発見が3つくらい無い限り(例えば大量の水素を安全に運ぶ方法)、乗用車用の燃料電池についちゃ望み極めて薄。面白そうなのはバイオ燃料。現在、バイオ燃料と言えば、トウモロコシやサトウキビから作るアルコールを示す。しかし最近になって様々な「植物」(セルロース/植物繊維)からアルコールを作る技術が登場してきた。すでにホンダは稲藁でアルコールを作る技術を発表済み。考えてみればゾウやキリンといった大型の草食動物もエネルギー源は植物。草を腸内細菌がエネルギーに変えてくれるのだ。その腸内細菌を上手に使うと、どんな植物からでもアルコールを作れるという寸法。やがてプールのような施設で植物プランクトンを培養し、そこからアルコールが作り出せるかもしれない。
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