シートアレンジで注目しておきたいのが、750mmもスライドする助手席をリアシートに接するほど後退させた「トライアングルモード」。開発者によると、3人乗車時に感じる後席との隔たりをなくし、会話の弾む車内を実現しているという。実際試してみると確かにこれまでにない斬新なアイデアだと思うのだけれど、助手席側エアバックの届かなくなる(影響のない)このレイアウトを採用するなら、是非とも助手席にチャイルドシートを装着できるようにして欲しかったと思う。
1.3リッター(87馬力)と1.5リッター(109馬力)の2種類をラインアップするエンジンは、どちらも電子制御4速ATとの組み合わせ。試乗してみると明らかに1.5リッターの方が静かで質感高い。街乗りしかしないというのであれば1.3リッターでも間に合うが、高速道路やアップダウンのある山間部などを走る機会もあるのなら動力性能に大きなアドバンテージのある1.5リッターをチョイスしたい。実用燃費もほとんど変わらないだろう。
やや気になったのがコーナーリング時に発生する大きめのロール。背の高さを考えると仕方ないとも思えるけれど、スピードを上げてワインディングロードを走行すると左右にかなり揺すられるため、車酔いしやすい人にとってはけっこう厳しいと思う。ただし、ファンカーゴに比べ約30%アップしたというねじれ剛性の高さはサスペンションのスムーズな動きを引き出しており、限界付近でも安定した挙動を維持できることに繋がっている。
価格的に少し割高感もあるが、一部では上級ミニバンをも凌ぐ魅力を持つ。画期的なクルマだけにトヨタの意欲がどこまでユーザーに受け入れられるか非常に楽しみ。