インプレッサが年改(年次改良の略。輸入車で言うイヤーモデルのようなもの)を行った。御存知の通りインプレッサというモデルは『PCWRC』(WRCのプロダクションカー部門)のベース車両として使われている。PCWRCはレギュレーションによって改造範囲が限られており、常に進化させないと唯一無二のライバルであるランサーエボリューションに勝てない。今回の“バージョンアップ”も、戦闘力向上を狙ったもの。内容は足回りのキャパシティ向上と、エンジントルクアップである。足回りから紹介しよう。

 これまでインプレッサのタイヤ幅はランエボより10ミリだけナローな225サイズだった。舗装路などを走るなら、太い方がいい。当然ながら「では235タイヤを履かせよう」になったと思う。しかしインプレッサって225サイズのタイヤでギリギリの設計だったそうな。例えば235タイヤを履くとタイヤが外側に出てしまうためボディからハミ出し、車検をパス出来なくなってしまう。ハブの強度も不安になってくると言う。したがって単に235タイヤにすればいいというワケじゃない。具体的には、タイヤがハミ出す分だけのオーバーフェンダーを装着。ハブのPCDを100ミリから114,3ミリにアップ。合わせてステアリングギアボックスの取り付け方を変更し、剛性も上げている。けっこう本格的に手を加えているのだ。

エンジンは一段とトルクを太くした。ノンターボエンジンに換算すると4000cc相当のトルクが4200cc相当へと200cc分上がったと思えばいい。さらに幅広い回転域で最高出力に近いパワーを出すようなセッティングになっている。ちなみにレガシィの最大トルク35kg・mに対しインプレッサは42kg・m。いかに強力か解って頂けると思う。もう一つ。ブレーキホースを伸びないタイプに変更した。ブレーキホースはわずかに膨らむだけで“ペダルの踏み心地”が悪くなってしまう。そこでブレーキホースを膨らまないタイプに変更したそうな。意外なことに走り出してすぐ感じたのがこの点だった。「ブレーキのタッチ、カッチリして良くなりましたね」。


ハンドリングはどうか? 相変わらず常人が一般道で乗るなら必要にして十分過ぎるスポーツ度を持つ。おそらくタイヤを鳴らすことさえ出来ないだろう。ただ一般道を模したテストコースで本格的に攻めると、もはや「国産の純正装着ダンパーじゃ無理」という感じ。専門的に評価すると「コーナーでのロールを抑えたいけれど、乗り心地や悪路でのトラクション性能を確保するためダンパーの減衰力を上げらない。そこでスタビライザーでロール剛性上げている」になります。具体的に言うと、サーキットのようにフラットな路面なら問題ないけれど、うねっているワインディングロードでは接地荷重の変化多く神経質な挙動になってしまうのだ。高性能のダンパーを使えばスタビを弱くしてトラクションをキープしつつ、減衰力を上げられる。乗り心地だって良くなるだろう。「違いの解る人」がインプレッサを買ったら、迷うことなくダンパー交換して欲しい。これだけで素晴らしいクルマになります。
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