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販売好調の新型クラウンの実力は?

新型クラウンが売れ行き好調だ。発売一ヶ月の受注台数は目標とした月販5千台の4~5倍(2万2千台)に達したほど。果たして新型クラウンは人気に違わぬ実力の持ち主なのだろうか?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド



新型クラウンが売れ行き好調だ。発売一ヶ月の受注台数は目標とした月販5千台の4、5倍(2万2千台)に達したほど。このペースを長期に渡って持続出来るかどうかは不明ながら、少なくともクラウンに興味あるユーザー層から評価されていることは間違いなかろう。

売れている要因を分析してみると、やっぱり「スタイル」と「走りの良さ」にある。スタイルについては私も2003年秋の東京モーターショーで見て「新しくなったな」と思った。しかしここにきてスタイルより、走りの良さの方が大きくクローズアップされ始めているそうな。試乗して購入を決めるユーザーも増えているらしい。そんなに新しいクラウンの走りはいいのだろうか?

試乗して「なるほど!」である。確かに今までのクラウンと全く違い”現在の価値観の高級車”なのだ。今までのクラウンは戦争終了後、日本を占領したアメリカが持ってきた高級車に範を持つ。当時の国産車って、トラックベースだから基本的にガチガチ(動かない、と評すべきだろう)の乗り心地。

フワフワしたシボレーやクライスラーに乗った日本人は驚嘆したと言う。当然トヨタもフラッグシップであるクラウンの開発にあたり、アメリカ車を目標に設定。フワフワの乗り心地を目指したワケ。しかし今や高級車の範はベンツやBMWに代表されるドイツ車。フワフワでコテコテしたクラウンの支持層は人生のベテラン達になってしまっていた。

新型クラウン最大のポイントはここにある。アメリカ車崇拝からドイツ車志向に切り替えたことだ。『ロイヤルサルーン』のハンドルを握って走り出すと、もはやベンツに負けていない。ガッシリしたステアリングの剛性感や、腰のあるロール感(ベンツに乗ったことのある人なら解っていただけると思うが、硬くないけれどそれでいてフワフワでない)は、正統派の良いクルマ的イメージ。

おそらく誰でも「いいクルマですね!」と思うことだろう。例えば高速走行時やコーナリング中のライントレース性(狙った場所を走る性能)など、従来型クラウンの2倍以上いい。人間の感性は「20%良くなれば誰でも解る」。2倍良くなったらハッキリ解ります。

エンジンも大幅に性能アップした。なんせ新型の2,5リッターと、従来型3リッターの動力性能が同等なのだ。これまた20%の向上で”誰だって体感できる”レベル。3リッターに乗ると「これならBMWの3リッターと比べたって負けていないな!」ほど良い。トヨタのエンジンと思えないくらいパワフルでスムース。

スポーティな『アスリート』は、サスペンションを引き締めたスペック。よりシャープな走りを狙う。購入を考えているなら、ぜひ乗り比べてみるべき。新型クラウン唯一の不満点は日本車が得意とする最先端の電子制御を採用していないこと。せめてホンダ・インスパイアのような追突低減ブレーキくらい付けて欲しかった。
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