「新型ラウムってどんなクルマか?」と聞かれたら「バスをフェラーリだとすればウィッシュみたいな存在」と答える。すると皆さん「全然解らないですけど」。う~ん! もう少し詳しく紹介します。バスは人をたくさん運ぶためクルマとして考えれば特殊なサイズと使い勝手になってしまった。フェラーリも性能を追求したため、特殊なカタチを持つ。バス(路線バスでなくマイクロバス程度をイメージしてください)やフェラーリを趣味で買う人もいるけれど、普通の人は買えない。でも「人がたくさん乗れること」を魅力だと考える人は多いのだろう。実用性を全く損なわず7人乗れるウィッシュが大人気。バスは買えないけれど、ウィッシュなら買える。
さて、今まではチャイルドシートを使う幼児や、お年寄りなどの乗降性を考えると、ある程度大きくて高額なスライドドア付きミニバンじゃないと不便だった。もちろん通常タイプのドアだってお年寄りは乗せられるけれど、介護者が相当パワフルでないと厳しい。最近高齢者を病院に連れていくのは60歳の人、といったケースも少なくないそうな。したがって幼稚園に子供を連れていったり、お年寄りを病院に連れていく、なんて使い方をしている人は、けっこう「頑張って」いるワケ。逆に考えると「頑張られている」ということ。これ、介護される側にとってみると無理させているようで、心理的に負担。無理して欲しくないのだ。
新型ラウムなら普通の1500cc車を買う「気安さ」で、いろんな人がクルマの便利さを分け合える。例えばチャイルドシートを使うような幼児なら、スライドドアを開ければ簡単に乗り降りさせれます。しかもセンターピラーが無いので、お爺さんやお婆さんでも腰を痛めず(無理な姿勢を取らなくてOK)幼児の乗降をさせられるだろう。これなら気軽にお孫さんと一緒に外出する気にもなるというもの。スライドドアなら狭い駐車スペースでも隣のクルマにドアのエッジをブツける心配も無い。高齢者と外出するときも、センターピラーレスのスライドドアは便利。6万5千円の『フレンドリィシート』を付ければ、クルマ椅子の人も最小の介護で楽に乗り降り出来る。
新型ラウムの面白さは「やさしさ」を持ちながら、普通の人にとって何ら負担が無いことじゃなかろうか。1040kgというこのクラスでは軽量なボディに1500ccエンジンを搭載するため、動力性能だって納得行くレベル。燃費も優秀。その気になってワインディングロードを走れば、スポーティなドライビングまで出来ちゃう。実際、新型ラウムのハンドリングって、昔のトヨタ流フィニャフニャ系でなく、最近のトヨタ流ヨーロッパ系なのだ。テストコースでコーナー攻めてみたら、けっこうイケます。このクルマでワンメークラリーとかやったら、本当の意味で「ユニバーサルデザイン」になると思った。そのくらいの奥行きを感じます。