満開の向日葵の花へ感謝を示すコンサート
松本:
大濠公園ではじめての野外コンサートとなった「ひまわりコンサート 真夏の夜の夢」は、激しい夕立の後にも関わらず、300人ほどの観客が集まったそうですね。このコンサートの経緯について、お話いただけますか?
片山さん:
「大濠と福岡の子ども達を繋ぐひまわりプロジェクト」は、向日葵の花の力を借りて都市社会のコミュニティーのあり方を提案する総合的アートプロジェクトです。プロジェクトを通したすべての行為や営み、創造、表現すること、そしてそれを繋げる力を総合的にアートとしてとらえています。
プロジェクトの提案は、片山雅史+KUKLが行い、わたし達と大濠公園管理事務所、そして公園周辺団体の代表および有志により実行委員会をつくり運営しています。KUKLのメンバーは大学生が中心ですが、
学生としてではなく、社会人、一表現者としてプロジェクトに関わっています。
今回のコンサートは、普段から向日葵畑をつくり育てている人々が、満開の向日葵の花へ感謝を示したいという気持ちから、企画が始まり実現したもので、通常のイベントのように、外部からタレントや演奏家を招いたものではありません。向日葵畑をつくり育てることを通して、太陽の光と大地の恵みに感謝の気持ちがわいてきます。それが、このコンサートの原点です。
コンサートは、フルートとクラリネットの演奏が30分程度、その後、10分程度のトークセッションを行い、ゴスペルクワイア”Angelic Shout!”が歌いました。
松本:
プロジェクトがこのような広がりをもつようになったのは、「畑」にしたことが要因だと思います。片山さんの中には、何か仮説のようなものがあったのでしょうか?
片山さん:
公園東側緑地に作った長さ50メートルぐらいの向日葵畑のほかに、大濠公園にはたくさんの花壇があり、そこにも地域の人の手により向日葵が育てられています。プロジェクトに参加していただいている団体には、それぞれの花壇に向日葵を植えて管理、育てていただくと同時に、私たちが提案している「みんなの向日葵畑つくり」にも参加していただくようお願いしています。
ふつう自分が育てている花壇の花は自分のもの、そして他人が育てている花壇の花は他人のものです。プロジェクトでは向日葵畑をつくり育てるプロセスにみんなで関わることで、「みんなの」向日葵畑であると同時に、「わたしの」向日葵畑という意識が重なり合うようになっていきます。向日葵をつくり育てる過程は、手がかかるだけに、愛情が湧いてくる。向日葵畑を通して、プロジェクトに関わるさまざまな団体の間でも、人と人の交流が始まっています。
最後に、片山雅史さんが作品のモチーフとして描いてきた向日葵の花、そして、絵画の楽しみ方について、お話をお伺いしました。