赤ちゃんを他人として拒絶する「免疫」
その裏には、免疫機構の働きがあると考えられています。免疫とは、通常、ウィルスのような外部からの有害なものを排除するための仕組みですが、実は、赤ちゃんも母親の身体にとっては自分自身ではありません。遺伝子の半分は自分のコピーですが、半分は他人なのです。
そのため、ごく軽い免疫反応が起きて、赤ちゃんを拒絶する働きを起こすのではないか、と考えられています。それを裏付けることとして、初めての妊娠や再婚後初めての妊娠など、その男性との間に出来た初めての子どもで妊娠中毒症になりやすいというデータをあげる人もいます。初めて受け入れる遺伝子の方が、身体が異物と思いやすい、ということでしょう。
中林先生は「妊娠は、ある意味ではお母さんと赤ちゃんのせめぎ合い」だと言います。ひとつの身体を一緒にふたりの人間が使うのが「妊娠」です。考えてみれば、奇跡のようなもの。時に、軽微な誤解が起きるということも、あり得るかもしれません。
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「妊娠高血圧症候群」学会の定義
愛育病院院長・中林正雄先生 |
<参考資料>『産婦人科治療』(永井書店)2004年5月号「特集・妊娠中毒症とその管理」