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薬剤師さんも妊婦の味方だった(2ページ目)

「妊娠と知らずに薬を飲んだ」「妊娠中、常用薬はどうすればいい?」虎の門病院には「妊娠と薬 相談外来」という外来があります。そこの担当、林さんにお話を聞いてみましょう。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

医師が安全性を保証できないのは何故でしょう?

ある薬に胎児への有害作用があるか無いかは、本当は人間の妊婦さんで実験しない限りよくわからないし、そんな実験は現実にはできません。ですから、胎児への薬害は、薬の影響の中でも最もわかりにくい分野なのです。

動物実験の結果を調べても人間に当てはまらないことはたくさんあります。また、血圧を下げる降圧剤を血圧が正常なマウスで実験して「胎児に低栄養、低酸素状態が起きる」と報告されてしまような、そんな矛盾も現実にはたくさんあるんです。健康なマウスに降圧剤を使えば低血圧になってしまい、赤ちゃんに栄養や酸素を運ぶ胎盤血流も減りますからしかたがないのですが。

でも専門家は、できる限りのデータを収集し、その信頼性を評価することはできます。外来では、産科医と薬剤師がペアで相談に当たり、集めたデータを前にしてお話をします。「判断の根拠を専門家と妊婦さんが共有する場」、それが私たちの外来だと思っています。

データはどうやって集められ、判断されているのですか?

ひとつの薬につき1週間くらいかけて、たくさんのデータベースにあたります。国内だけではなく米国や欧州のデータベースも探しますし、学会や学術雑誌の論文、製薬メーカーのデータも調べます。ですから、この外来にかかる方は、来院前に、所定の調査書で薬の名前を送っていただくことになっています。その上で、予約をお受けしています。

外来は毎週水曜日。産婦人科医と薬剤師がペアで当たり、ひとり20~30分の時間をとっています。右が林昌洋さん、左が横尾郁子先生で、おふたりともこの外来のベテランです。



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