妊娠の基礎知識/高齢出産

高齢出産にはどんなリスクがあるの?

高齢出産でもほとんどの人は元気な赤ちゃんが抱けますが、若い人との違いを知っておくのは悪いことではありません。一番違うのは、卵子の老化という問題です。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

高齢出産は難産になる?の続きです。

仕事が高齢出産の原因のひとつ

最近ひょっこり日本に帰ってきたアメリカ人の友人が、やっぱり言っていました。「今のアメリカは40代で小さい子がいる人がすごく多いのよ。みんな、若いころは仕事に一生懸命で子どもを持つことはあまり考えないの」

日本もだんだんそうなっていくでしょうし、私は、今の日本社会では、仕事に夢中になった女性の出産がおくれるのはどう考えても仕方がない気がします。だって、子どもを産んで育てるのはすごく価値があることだなんて、この男性社会は認めてくれないですもの(早くこの感覚が変わってほしいですけれどね)。

ただ、次のような事実があるのは知っておきたいものです。

高齢出産についてくるリスク

●まだ妊娠していない人は、妊娠しにくくなることを知っておきましょう。 
35歳を過ぎると妊娠する率、不妊治療が功を奏する率が下がり始めます(40代の人が不妊治療に成功する率はほんのひとにぎりになってしまいます)。卵子の老化がおもな理由。どうしても子どもが欲しい人が35歳すぎて避妊し続けるのは、再考の余地あり、です。

●流産の割合が増えます。
20代での流産率は1割くらいですが、40代では2割くらいに。これは「妊娠しにくい」のと同じ理由で、卵子が老化し、育たないものを含む率が高くなっているからです(子宮が弱っているということではありません)。

●ダウン症の発生率が増えます。
20代では発生率は1000人中ひとり以下ですが、35歳では3人くらいになり、40代では10人くらいになります。若い妊娠ではあまり考えませんが、子どもの障害についてじっくり考えることは、高齢出産する人の「宿題」。

●帝王切開率が上がります。
妊娠中毒症が重くなる人、糖尿病などの持病がある人、そして不妊治療後に多い「大事を取っての帝王切開」などで、帝王切開率はどうしても高くなってしまいます。

やっぱり高齢出産って大変そう?

でも、お産はもともと人生の大仕事です。20代でも、たくさんの人が困難な妊娠・出産にチャレンジしているのを思い出してください。流産も、帝王切開も、実は、若い人でも10人にひとり以上が経験します。

卵子の老化の問題は大きいのですが、ひとたび安定期まで入った妊娠なら、現代の高齢出産はかなり安全性の高いものになっています。勇気を出して、でもロボットではない自分の体のことも知って、いい高齢出産をしてください。

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