株・株式投資/株式の売買テクニック

株におけるナンピン買いの考え方

ナンピン買いとは、保有している株が下落した際に、平均取得価格を下げるためにさらに買い増しをすることです。平均購入単価が下がってメリットもある方法ですが、損失から逃れるために、あるいはその銘柄に固執してナンピン買いを続けるのは、かえって損失の拡大に繋がりかねません。予想が外れた銘柄はナンピン買いをせず、素直に損切り(ロスカット)したほうが賢明なケースもあります。

藤村 哲也

執筆者:藤村 哲也

株式ガイド

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ナンピン買いとは?

買い、売りの判断は慎重に

買い、売りの判断は慎重に

ナンピン買いとは、保有している株が下落した際に、平均取得価格を下げるためにさらに買い増しをすることです。

例えば、1000円で100株購入した株が800円まで下落したとします。ここで100株購入(ナンピン買い)すると、保有株数は200株となり、平均取得価格は900円に下がります。

平均取得価格:(1000円+800円)÷2=900円

ナンピン買い後、株価が上昇すれば効果大

下落局面でナンピン買いをする目的は、株価の戻り(上昇)を期待して平均取得価格を下げることにあります。平均取得価格が下がれば、損失からプラスへ転換しやすくなります。

上の例で言えば、1000円で購入した株の損益がゼロになるには、200円の戻りを待たなければなりません。しかし、ナンピン買いで平均取得価格を900円に下げていれば、100円の戻りで損益ゼロとなるのです。

■上の例で、その後も株価が上昇して1100円になったら?
ナンピン買いをしなかったケース:100円×100株=1万円の利益
ナンピン買いをしたケース:200円×200株=4万円の利益

ナンピン買い後、株価が下落を続けると損失が拡大

株価の上昇が期待できる状況であれば、ナンピン買いは大きな武器となりましょう。しかし、ナンピン買いは下落局面で行うものであり、さらに株価が下落するというリスクも念頭に入れなければなりません。

■上の例で、800円に下落した株がさらに700円まで下がったら?
ナンピン買いをしなかったケース:-300円×100株=3万円の損失
ナンピン買いをしたケース:-200円×200株=4万円の損失

■上の例で、さらに600円まで下げた場合は?
ナンピン買いをしなかったケース:-400円×100株=4万円の損失
ナンピン買いをしたケース:-300円×200株=6万円の損失

ナンピン買いは平均取得単価を下げることができますが、同時に株数を増やすことでもあります。上昇のメリットが大きい一方、下落時のリスクも高ります。

何もしていなければ100株分の損失で済んだはずが、ナンピン買いをしたために200株分の損失が出てしまう可能性もあるのです。

ナンピン買いの注意点

ナンピン買いはその後の値上がりを期待して行うものです。そのため、銘柄の状況をきちんと把握しておく必要があります。
  • 株価が下がった理由は何なのか?(相場全体によるものか、個別要因によるものか?需給によるものなのか?など)
  • 銘柄の状況に変化はないか?(購入時と比較して業績見通し・経済動向、前提条件に変化はないか?)

企業は生き物のように常に動いてきます。様々な変化があります。

単に相場全体の要因により売りが進んだのであれば、その後の上昇も期待できるでしょう。しかし、その銘柄を取り巻く状況が変わってしまったのであれば注意が必要です。

例えば、円高や原油高、金利上昇など外部環境の変化にも対応していく必要性があります。

業績見通しが悪化した銘柄はそのまま下がり続けるケースが多くあります。損失から逃れるために、あるいはその銘柄に固執してナンピン買いを続けるのは、かえって損失の拡大に繋がりかねません。

予想が外れた銘柄はナンピン買いをせず、素直に損切り(ロスカット)したほうが賢明かもしれません。損切りができれば、次の投資チャンスにも即座に対応することが可能なのです。

損切り=損の確定を恐れず、冷静にチャンスをつかんでいくことが、資産形成へと繋がっていくのではないでしょうか。
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