切迫流産は妊娠初期の出血を主徴とした症状
切迫流産は妊娠初期におこる出血
切迫流産は、稽留流産や進行流産、不全流産といった、流産の状態を表現したものではなく、妊娠初期の子宮出血を主徴とした症状に対する名称です。
どこから出血するのかとよく聞かれますが、妊娠により新たな血管がたくさんできてくる時に、その一部から出血したり、胎盤になる部分の一部が剥がれ、子宮内に貯まった出血(絨毛膜下血腫)からであったあり、子宮の出口にある「びらん」からだったりします。
胎児心拍が確認できればほとんどのケースで妊娠継続できる
かつて、超音波検査が一般的でない頃は、子宮内の状況がわからなかったので、出血は流産へ移行する状態として、自宅での絶対安静が指示されたり、子宮の収縮を抑える薬や、止血剤などの点滴などをしながら入院厳重管理がなされていました。ところが、超音波診断が普及して状況は一変しました。胎芽や胎児心拍が見えない場合は、確かにその後に流産となるケースが多くても、胎児心拍を認める場合は、ほとんどのケースで妊娠継続ができることがわかったからです。厳重管理による治療も根拠がないこともわかってきて、切迫流産での入院は少なくなりました。
初期流産のほとんどが、染色体異常や遺伝子病など胎児側に原因があり、受精した時点でその結果は決まっています。胎児に異常があれば、いくら安静にしていても、どんな治療をしてもうまくいきませんが、胎児に異常がない場合は、逆に何もしなくても、出血等の症状は次第に治まってゆき、正常妊娠のプロセスへと復帰することがほとんどです。
ただし、すぐに流産にはならなくても、その後の早産のリスクもあるので、出血があれば、安静まではいかなくても、無理をしないことが原則で、普段どおりの生活でいいとはいえません。状況によっては入院も必要となります。