快適空間をつくるには
(1)敷地を最大限に生かす上下の縦方向スペースとは、地下室と屋上の利用です。地下室は地上に出ている部分を1m以内におさめるなど、一定の条件を満たすことで、合計面積の3分の1までを計算上の延床面積から除くことができます。つまり容積率には入らないので、地下部分のスペースがおまけのスペースとなるのです。用途としては、寝室や書斎などの多目的用途と、納戸などに使えます。さらにドライエリア(から堀り)を設けて、光や風を通すこともできます。次に屋上ですが、3階の屋根を全部または一部分、屋上庭園にすることも可能です。防水をしっかりすれば、何ら問題はありません。屋上庭園の芝生で家族みんなでバーベキューをすることも夢ではありません。
(2)室内、室外の環境をどうつくる
・周囲に建物が建っていても、光と風は取り入れたいものです。採光と通風に、より有効的な手法として、トップライトとハイサイドライトがあります。隣家が密集していても、高い位置に窓があるので、視線も気になりません。
さらに狭小地でもっとも工夫しなければならないのは、外部空間をどう生かす間取りにするかです。都心部では一般的には建ぺい率60~80%です。そうなると、外部空間は40~20%もあるのです。この40~20%を利用して、内と外との一体感をつくることです。デザインを活かして体感面積を広げる工夫をすることがポイントです。
・都市の密集地では、音やほこりも気になるものです。外壁材や開口部の遮音対策も十分に考えておく必要があります。ちなみに引違い窓より、縦すべり出し窓の方が、遮音性能は高いです。また、音は外部からだけではなく、室内音への対策も施しておくとよいでしょう。特に、排水管の音です。防音シートも貼り、どこを通して外に出していくのかもチェックしておくとよいでしょう。
(3)万一の災害にはどう備える
木造3階建ては、構造計算をして耐震壁の量はもちろん、基礎の計算もします。したがって、耐震性は十分確保されています。むしろ注意しなくてはならないのは、防犯対策です。特に都市部で密集している場所は、建物の裏側が死角になるので要注意です。できれば1階、2階の窓は防犯ガラスにしておくとよいでしょう。また、建物の外回りには、室外機や給湯器などが設置されます。メンテナンスはもちろん、隣家との位置にも配慮することです。
トップライトから光が射し込むリビング:(株)佐川旭建築研究所