乳腺炎/乳腺炎の種類と対処法

乳腺炎のなりかけ「うつ乳」の症状と対処法

乳腺炎のなりかけとは、乳房の一部の乳腺からの母乳の流れが悪くなり、濃縮した母乳の塊が乳管を塞いで詰まり、その乳腺が腫れて少し痛い状態のことです。この時期であれば、授乳を続けながら、生活、食事の注意することで自然に改善することが多いです。

赤岩 明

執筆者:赤岩 明

妊娠・出産ガイド

乳腺炎になりかけ(うつ乳)の状態とは

乳腺炎なりかけ

乳腺炎になりかけのイメージ

乳腺炎になりかけの状態を「うつ乳」と言います。

乳管が閉塞し、腺房内に乳汁が貯留して、痛みのあるしこりになります。この状態は多くのお母さん(約3割)が経験します。乳管の閉塞が開通すれば、症状は改善します。

授乳を続け、授乳リズム、食事内容に注意することで、ほとんどの場合は自然に治りますが、不注意が続くと、本格的な乳腺炎に進行します。

 


 

授乳を続けながら、生活・食事を見直そう

乳腺炎になりかけの際は、乳汁の流れがうっ滞しないよう授乳を続ける、食事内容に注意する、授乳リズムを崩さない、休養を十分に取るなどの対処が最も大事です。以下のことを心に留めてください。
  • 授乳を続けてください! 頻繁な授乳で母乳の流れを維持しましょう。
  • 赤ちゃんがうまく吸着しているか? いつも同じ所を吸着していないか? いろんな角度から赤ちゃんが吸着できるように、抱き方を変えてみましょう。  
  • できれば、症状のある乳房の方から授乳しましょう。
  • できる限りの安静・休養を取りましょう。
  • 水分を摂りましょう(水・お茶はOK。ジュース・炭酸・コーヒーはNGです)。
  • 塩分、脂肪の摂取を控えましょう。もしかして、最近ごちそうを食べませんでしたか? 案外、それが今の症状のきっかけかもしれません。
  • 痛み、脹れが乳房の一部なら、授乳後に、そこを冷やしたらラクになります。 冷却ジェルシート(熱さまシート・冷えピタ)がおすすめです。保冷剤は布で包んで、直に皮膚にあたらないように。
  • きつい服、下着、締め付けるブラジャー(特にワイヤー入り)は避けてください。
  • 乳頭亀裂など乳首のトラブルの方は、専用クリームを使って良いのですが、 そんなものは使わないという考えもあるので、別の記事で詳しく説明します。
医学的治療は必要ありませんが、医師・助産師に相談するのもOKです。お母さんの話をお聞きして、このような状態になった要因(乳腺炎の要因を参照)を見つけ、それを取り除くことが、解決への道です。しかし、この段階で、医師により抗生物質が処方され、それを理由に授乳中止が指示されることがあるのは、困ったことです。この段階で授乳を中止すると、本格的な乳腺炎のきっかけになります。
 

お薬は飲んでも良い?

この段階なら、授乳を続けながら、鎮痛剤のアセトアミノフェン、イブプロフェン、漢方薬の葛根湯などを服用できます。解熱鎮痛剤は、「本格的な乳腺炎の対処・治療」の記事で詳しく説明します。

葛根湯は、風邪の初期症状に効く一般用医薬品としても販売されていますが、病気そのものを治すのではなく、病気の初期に免疫力を素早く高め、身体が病気を治す力をパワーアップする働きがあります。この点は、「乳腺炎は冷やす?温める?」の記事でも紹介します。

解熱鎮痛剤も葛根湯も、数回の服用は問題ありませんが、常用はいけません。

搾乳したほうがいい?

赤ちゃんに吸われると乳首が痛い、嫌がって吸いついてくれない、飲み残しの母乳が乳腺に残るなどの場合、手で搾乳します。やり方は、お産後の指導で聞いていると思うのですが、聞いてないという方は「乳腺炎と搾乳」をお読み下さい。

 

母乳マッサージを受けるべき?

この段階なら、優しいマッサージはOKです。どんな場合でも、痛みを感じるマッサージはNG。有名な桶谷(オケタニ)式のキャッチフレーズは「痛くなくて、よく出るマッサージ」。 「お母さんの眉間にシワが寄ったら桶谷式とは言わない」と、桶谷先生はおっしゃられていたとのことです。ただし、マッサージについてはいろいろな考え方があります。詳しくは「乳腺炎とマッサージ」の記事をお読み下さい。

 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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