葬儀・葬式/葬儀の形態

直葬(ちょくそう)にみる現代の葬儀事情(2ページ目)

近年、直葬(ちょくそう)といわれる葬儀に注目が集まっています。直葬とは、通夜・葬儀といった一連のセレモニーを行わす、火葬のみで済ませてしまう葬儀スタイルのこと。金銭的事情に加え、家族関係の変化、宗教観の変化、地域社会の変化などにより葬儀を簡単に済ませたいという人が増えています。

吉川 美津子

執筆者:吉川 美津子

葬儀・葬式・お墓ガイド

直葬が増えた背景

経済的な事情もありますが、多くは「故人の意思によるもの」「近隣に知られたくない」など、地域コミュニティの崩壊、核家族化など社会環境の変化に加え、宗教観の変化による影響が大きいでしょう。直葬には賛否両論ありますが、葬儀の方法は家族が決めることですから、亡くなった人に対して敬意を表し、弔いの意図を持って一連の葬送を行うのであれば、規模に関係なくそれは立派な葬儀スタイルといえます。

ただ問題なのは「何のために葬儀を行うのかわからない」と、合理的側面だけで葬儀を省略してしまうこと。亡くなった人に対して敬意を表し、「できる限りのことをして送ってあげよう」という意識を持たない人が増えていることを危惧せずにはいられません。

直葬を考える前に

こんな経験はありませんか? 知人の訃報を後から知ったとき、「なんで教えてくれなかったの。」と思った経験。最近では、「葬儀は不要」という言葉を残して逝く人も増えていますが、故人を含めた「自分たちの思い」ばかりが先走ってしまうと、故人を慕う人達によるお別れの場をシャットアウトしてしまうことになります。

「最期にお別れがしたかった」「会ってひとこと言いたかった」と、死を一緒に受け止めたいという人はきっといるはず。直葬というスタイルの中でも、故人を慕う家族や友人・知人が集い、少しだけでも向き合える時間だけはキープしておきたいものです。
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