実質勝訴! 保護者の訴えは認められた
判決の日、残念ながら法廷に足を運ぶことができなかったガイドの携帯に、1本の電話がかかってきました。「イノクマさん、勝ったよ! 実質的には勝訴だよ! 私たちが言ってきたことが認められましたよ!」原告団のSさんでした。「ホントですか! すごいじゃないですか!」と思わずその場で叫んでしまいました。その裁判の内容について、翌日の毎日新聞神奈川版では次のように報じています。■横浜市保育園民営化訴訟:「条例制定は訴訟対象」最高裁判断 原告、笑顔も
横浜市の市立保育園民営化を巡り、市に民営化の取り消しを求めた保護者(原告)らが26日、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)の判決後、東京都内で会見した。2審・東京高裁(1月)の判断を覆し、民営化条例制定が行政訴訟の対象になりえると判断した判決の内容に「うれしい」と喜ぶ姿も。しかし結論が原告敗訴確定となったため、複雑な表情を見せる保護者もいた。
保護者らは04年2月に提訴。1審・横浜地裁は06年5月、早急な民営化を違法と認めたが、2審は「条例制定は『行政処分』に当たらず、行政訴訟の対象にはならない」として訴えを却下していた。
小法廷は「特定の保育園で保育を受けている児童と保護者は、期間満了(卒園)まで保育を受けることを期待できる法的な立場にある」と判断した。同種訴訟が2審のように門前払いされる恐れがなくなり、原告代表の金道(きんどう)敏樹さん(50)は東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた記者会見で「(同じ問題に悩む)全国のお父さんお母さんに良いプレゼントができた」と笑顔を見せた。
ただ小法廷は全員が卒園し「訴えの利益がない」として、条例の違法性については判断せず上告を棄却、原告の敗訴が確定した。保護者らは「高裁が時間を空費したことで、違法性の判断を得ることができなかった」とのコメントを悔しそうな表情で読み上げた。【銭場裕司】
(毎日新聞 2009年11月27日 神奈川版より)
結果的には、子どもたちが卒園してしまっていることで、「敗訴」が確定しています。しかし、この判決には重要な意味があります。それは、民営化という条例制定が行政訴訟の対象となる「処分」になりうると判断されたことです。実は、最高裁が「処分性」を認めたのはこれが初めてのこと。二審のように「門前払い」されることなく、民営化を始め、同様の問題についても、差し止めや取り消し求める訴訟、執行停止の申し立てが認められる可能性が出てきたのです。
実に6年にもわたる長い戦いでした。それでも、これだけの判決を引き出したことで、今後の民営化裁判に大きな影響を与えることは間違いありません。原告団のみなさん、本当にお疲れ様でした!
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