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保護者も子どもも無視!保育制度改革とは(2ページ目)

保育制度改革でまた新たな動きがありました。2月24日、社会保障審議会少子化対策特別部会において、昨年来、提案されてきたこの保育制度改革の「第1次報告案」に若干の修正が加えられた後、了承されたのです。

猪熊 弘子

執筆者:猪熊 弘子

子育てガイド

矛盾だらけの厚生労働省の説明!

子ども
保育制度改革は待機児童が解消するばら色プランなのでしょうか!?
今年4月時点での待機児童の数は、全国各地で急増することがわかっています。報道によれば、杉並区の保育園では申請者数が30%増とのこと。私がよく行っている東京都内の保育園でも、「4月の時点での待機児童は100を超えそうだ」と園長先生がお話してくれました。とにかく、認可保育園の数が全然足りていないのです。

それなのに、新しい「保育制度改革」について、厚生労働省では「この案にすれば、認可保育園が飛躍的に増え、待機児童が解消する」としています。
厚生労働省が言っている、バラ色プランは、こんなこと。

  1. 「保護者が希望する保育所を選べる」
  2. 「保育園が増えて、待機児童が減る」
  3. 「保育園が増えて競争が増え、いい保育園が残る」
……などなど。ハッキリいって、矛盾だらけの空論です。新しい制度の下でこんな夢のようなプランができるというなら、今でもとっくにできているはずです。

まず、1)の「保護者が希望する保育所を選べる」について。今は確かに親が希望する保育園にならないこともありますが、直接契約になって、親が園に申し込みをするようになったからといって、果たして「選べる」ことになるのでしょうか? その園が人気があって申し込みが多ければ、当然のことながら入園できない子どもが出てくるのは当然。これほどまでに認可保育園が少ない状態では、「希望する園を選べる」わけがないのです。

2)の「保育園が増えて、待機児童が減る」も、ハッキリ言って意味不明。確かに、新しい制度の下では、社会福祉法人もNPOも、企業も一律に参入できるようになっています。だからといって、「もうからない」保育園ビジネスに、多くの企業が参入してくるはずがありません。補助金を狙って参入し、子どもを預かり始めてから計画倒産するような、悪意に基づいた企業が入ってこないとも限りません。公的なお金でしっかりした認可保育園を作っていかない限り、待機児童が減ることはないのです。

3)の「保育園が増えて、いい保育園が残る」については、競争原理を、保育のどこの部分で働かせようと言うのか、という疑問があります。「いい保育園」というのは、いったいどんな園なのでしょう? 「お勉強」を教えてくれるような園? 24時間保育をしてくれるような園? つまりは、親へのサービスが「競争」の場になってくるはずです。

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