すでに自治体ごとに保育内容の差が!
保育内容や条件に関して、国が法律で定めていること以外については、今でさえ、すでに自治体ごとにかなりの差があることをご存じでしょうか?たとえば、お昼寝用の布団。これはどこの備品になるのか、法律では定められていないため、経済的に余裕のある自治体では自治体の備品として購入し、園に置いておいて、それを園児が利用する形になっています。ところが、経済的に余裕のない自治体では、親が購入して園に持ち込むことになっています。3人の子どもが保育園に通っていたら、親は毎週末ごとにこの3人分のお布団を家に持ち帰らなければならないことも。ものすごい負担です。逆に、余裕のある自治体の園では、今ではシーツまで自治体の備品として揃え、シーツの洗濯まで自治体で行っているところさえあるのです。
ほかには「主食弁当」の問題もあります。国の最低基準では、3歳未満児については国の費用で主食費(お米やパンなど)を出していますが、年少~年長児の主食は国で負担していません。そこで、経済的に余裕のない自治体では、年少さんから「主食弁当」といって、ごはんやパンなどの主食だけ家から弁当箱に詰めて持ってくることになっています。私立の園などでは、園で作ってくれるところもありますが、その場合も、費用に関しては別徴収していることが多いようです。
面積基準がなくなったらどうなる!?
今回、日経の記事で取り上げられたのは「面積」の問題でしたが、今は、国が法律で最低のラインの面積基準を作っていることで、日本中の認可保育園の面積は一律の基準以上に保たれています。もし地方自治体に決定権が移ることになった場合、特に問題になるのは都会の保育園。相次ぐ緩和、緩和で、すでに園庭さえない認可保育所がゾロゾロ出てきているのに、さらに狭いところに子どもを詰め込んだ、劣悪な認可保育所が出てくる可能性が大きいのです。福田康夫首相は以前、保育サービスの規制改革について「利用者の立場に立って、年内に結論を出してほしい」と発言しています。首相に「『利用者』って誰?」と突っこんだら、いったいどんな答えが返ってくるのでしょう? 親? それとも子ども?
保育園は、親の就労サービスである以前に、子どもの福祉のための場所でなければなりません。利用者はあくまでも子どもだということを忘れてほしくありません。
それにしても、少子化、少子化、と騒がれるわりに、国の上の方で本当に子どものことについて考えている人はいないのでしょうか? 本当に子どものことを考えているなら、最低基準の撤廃を推奨するような考えや、誘導的な「誤報」など出て来ないはず。これは保育園に通っている子どものみならず、日本の子どもに対する考え方すべてを如実に表している大きな「事件」です。「基準撤廃」をしたとき、いったい誰に利益があるのかを考えれば、その意図が少し見えてくるように思えます。