「離婚を幼年童話のかたちで書く」というと、何か重苦しいような雰囲気を想像されるかもしれません。
しかし、本文中では「離婚に至った大人どうしのいきさつ」などは書かれていません。
そうではなく、「ママ」の寂しさ、心の中の風景が描かれているのです。
本文中に出てくる「死に神」も「森のおばあさん」も、現実のできごとではありません。でも、そこでもやり取りこそが、「ママ」にとっての真実なのだ、ということです。
シングル・ママはもちろん、「ちょっとお疲れ」のママの心にも、優しくしみこんでくるお話です。
●もちろん、子どもにも人気●
言うまでもありませんが、「子ども向けのお話」としても人気のあるシリーズです。
「ねこのプー」や、「くつしたのふたごのお友だち」など、現実とゆるやかにつながっている「ファンタジーの世界」は、子どもたちも好きなはず。
「赤ちゃん向けの絵本」を卒業しつつある、4,5歳くらいから楽しめるでしょう。
園児世代なら『ちいさいモモちゃん』『モモちゃんとプー』など。その先は、小学生くらいになってからでもいいかもしれません。
「パパおおかみ」「森のおばあさんの話」などは、小さい子どもには少し分かりにくいかも。でも、「説明し過ぎないこと」がこのお話の魅力です。
成長過程の中で、読み返すたびに「前には気づかなかった登場人物の気持ちを発見していく」という読み方ができるのではないかと思います。
親子で長く楽しめる、思い出に残る本になることでしょう。
お仕事が遅くなって、暗い夜道を急いでモモちゃんを迎えに行くママ・・・。40年前に、この切ない気持ちを表現していたお話があったのです。
今なお多くの絵本が「仕事に行くパパと、おうちにいるママ」という設定である中、「モモちゃん」シリーズは新鮮であり続けています。
文庫版もありますので、電車通勤のお供にどうぞ。
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