自分は、投資信託を作っている運用会社(投信会社)の質を重視しています。
運用会社の経営理念
投資信託の成績のもっとも土台になっているのが、運用会社の経営理念です。私は、投資家の資産が大きく成長することを究極の目的とする運用会社を選びたいと思います。「そんなの当たり前だろう、資産を増やすことを目的としない運用会社なんかあるのかい?」という声が聞こえてきそうですが、問題は最優先される目的です。資産を増やすことを目的としない運用会社なぞありませんが、それが最優先でないという会社は、この国には確かにあります。
そんな会社で客の利益よりも優先される目的とは・・・運用会社の利益であったり、販売会社(証券会社)の利益であったりします。分かりやすくひと言でいえば、投資家をたくさんもうけさせる投資信託よりも、投資家がたくさん買ってくれる投資信託を供給しようと運用会社です。
投資信託の販売会社である証券会社は、世間の投資ニーズや投資家が注目するキーワードに敏感です。どんな商品なら売れるそうか?どんなストーリーなら食いつきそうか?といつも思案をめぐらしています。そして、こんな投資信託なら売ってあげるよと、運用会社に提案するのです。もちろん、運用会社には運用会社の独自の投資方針や哲学があるかもしれませんが、販売会社から圧力がかかると、それにおもねることとなりがちです。なぜなら、運用会社にとって販売会社は、唯一の目に見えるお客さんだからです(個人投資家は運用会社からは販売会社の肩越しに遠くぼんやり見えるだけ)。
運用会社の姿勢として、どれくらい主体性を貫けるかが大事なわけですが、そこで大きな影響力を持つのが、企業間の資本系列です。
運用会社の資本系列
日本の運用会社のほとんどは、販売会社を親とする企業系列の中に作られました。販売会社とは証券会社、銀行、保険会社などの金融機関です。エンドユーザーに金融商品を販売する金融機関の子会社として設立された系列化された運用会社が、親会社のために売れる投資信託をせっせと作るのは当然のことです。ただし、ここで問題なのは、売れる商品が成績が良いとは限らないし、成績の良い商品だからたくさん売れるというワケではないということです。まだまだ未成熟な日本の投信業界では、正しい商品選びや適切なセールスが行われていません。投資家は感情的な宝物探しに走り、金融機関は系列化の商品ばかり売ろうとします。その結果として、販売力の強いルートに乗っている投資信託がよく売れる、というおかしな現実があります。