ROE=ROA×財務レバレッジ
つまり、ROAは収益性と効率性を同時に示す指標であって、ROAを向上させるためにはこのどちらかあるいは両方を高める必要があります。そして、ROAに財務レバレッジを乗じた値がROEとなりますので、収益性と効率性を兼ね備えた企業がレバレッジ効果を加えることでさらに収益力を高めることが出来るのです。前回の記事でROAが高い企業(ネット企業)と低い企業(メーカー・製造業)を比較して、ROAが高い企業は有望であることをお伝えしましたので、参考にしてください。
例えば、ネット企業などのようにROAが20%以上と高い企業であれば、株式を発行して資金調達を行うよりも銀行からの借り入れで調達した方が効率が上がります。
ROAが20%以上ということは収益力と効率性が高い訳ですから、銀行の借り入れコストを上回る収益を上げることはさほど難しくありません。特に現在のような低金利時代であれば借り入れコストは数%に対して、投資によるリターンが20%以上となりため十分に投資効率を高められます。
一方、公募増資など株式の発行で資金調達を行った場合、利益に対する法人税を支払い、残った純利益から株式の配当金などを支払う必要があります。ですから、銀行から借り入れを行った方が効率が高まるのです。
このように、ROAが高い企業は財務レバレッジを利かせてROEを高めることで、株主価値も高められるのです。
将来のROEを予想していくことが重要
ただ、既にROEが高い銘柄は外国人投資家の保有比率が高く、株価も上昇しているケースが多いため、現段階の投資判断は企業の実態を把握し将来を予測することが重要です。現在のROEが高いということはあくまでも過去の数字であり、株価には既に織り込まれているためです。そのため、今後さらにROEが高まっていく企業や、現在は低くても将来高まっていく可能性の高い企業を予想し有望な企業に投資することが重要です。
これを予想するには、企業が今後の成長戦略としてどの分野に投資しているのか、そこでの競争力が高いのか、進捗状況はどうなのかなど企業の実態をしっかりと調査する必要があります。最先端・最前線で事業展開をしている企業に取材して生の声を聞くことが非常に有効なのです。
外国人投資家はこの分析を綿密に行ってから投資しているため、まだ株価が初動段階のうちから投資し、保有比率が高くなった頃には株価も上昇しているケースが多いのです。外資系証券会社のレポートが数十万円もの価格で取引されていることからも分かるように、それだけ個人投資家では入手が困難で付加価値の高い情報なのです。
このような観点で投資するためには、取材による調査に基づいた証券アナリストのレポートなども参考にして、将来のROEを考えてみるのも株式投資で成功する一つの要素かもしれません。